陥る(読み)オチイル

デジタル大辞泉 「陥る」の意味・読み・例文・類語

おち‐い・る【陥る/落(ち)入る】

[動ラ五(四)]
落ちて中に入る。はまる。「深みに―・る」
望ましくない状態になる。「重態に―・る」「ジレンマに―・る」
相手策謀にはまりこむ。計略にかかる。「敵の術中に―・る」
攻め落とされる。陥落する。「城が―・る」
死ぬ。息を引き取る。
「いつ―・りあそばすかも知れない」〈倉田出家とその弟子
深くくぼむ。へこむ。
目皮まかはらいたく黒み―・りて」〈紅葉賀
[類語]落ちる落ち込む落っこちる下がる沈む下降する降下する沈下する低下する低落する下落する落下する落馬する落輪する脱輪する墜落する失墜する滑落する転落する崩落する滑り落ちる転げ落ちる崩れ落ちる零れ落ちる零れる

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精選版 日本国語大辞典 「陥る」の意味・読み・例文・類語

おち‐い・る【陥・落入】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 落ちて中にはいる。はまる。また、身を投げる。落ちる。
    1. [初出の実例]「母の項(うなじ)を殺(き)らむとするに、地裂けて陥(ヲチイル)〈国会図書館本訓釈 陥 ヲチイル〉」(出典:日本霊異記(810‐824)中)
  3. まわりより低くなっている。穴になっている。落ち込む。深くへこむ。
    1. [初出の実例]「目皮(まかは)らいたく黒みおちいりて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)紅葉賀)
  4. 計略にかかる。はまる。
  5. 攻め落とされる。落城する。陥落する。〔文明本節用集(室町中)〕
  6. ( 多く「気、心、胸に落ち入る」などの形で ) 納得する。なるほどと思う。
    1. [初出の実例]「いえ、お気にとっくり落入る様、よくお前から頼みまする」(出典:歌舞伎・音聞浅間幻燈画(1888)序幕)
  7. 死ぬ。息を引きとる。息が絶える。
    1. [初出の実例]「手負のただいまおちいるに、一日経書いてとぶらへ」(出典:平家物語(13C前)一一)
  8. 好ましくない状態にはまりこむ。
    1. [初出の実例]「実に弱ゐ人は詮方なく饑死でもすることに落入(オチイリ)ませう」(出典:開化問答(1874‐75)〈小川為治〉初)
    2. 「一旦さういふヂレンマに陥った者が」(出典:我等の一団と彼(1912)〈石川啄木〉三)

おち・る【陥】

  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 「おちいる(陥)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「皆自(みづか)澗谷(たに)に投(オチリ)て死(みまか)る」(出典:日本書紀(720)景行一二年一〇月(北野本訓))
    2. [その他の文献]〔大般若経字抄(1032)〕

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