零れ落ちる(読み)コボレオチル

デジタル大辞泉 「零れ落ちる」の意味・読み・例文・類語

こぼれ‐お・ちる【零れ落ちる】

[動タ上一][文]こぼれお・つ[タ上二]
容器などからあふれて落ちる。漏れ出て落ちる。「地面に―・ちた米を鳥がついばむ」「とめどもなく涙が―・ちる」
散って落ちる。「桜の花びらが―・ちる」
脱け落ちる。「リストから―・ちる」
感情などが、心におさめきれなくて思わず表に現れてしまう。「笑みが―・ちる」
今までの主従関係を離れる。
天下武士みな―・ちて付きしたがひ参らせんずらん」〈太平記三七
[類語]流れる滴るこぼれる伝う垂れる落ちる落ち込む陥る落っこちる下がる沈む下降する降下する沈下する低下する低落する下落する落下する落馬する落輪する脱輪する墜落する失墜する滑落する転落する崩落する滑り落ちる転げ落ちる崩れ落ちる

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精選版 日本国語大辞典 「零れ落ちる」の意味・読み・例文・類語

こぼれ‐お・ちる【零落】

  1. 〘 自動詞 タ行上一 〙
    [ 文語形 ]こぼれお・つ 〘 自動詞 タ行上二段活用 〙
  2. 水、涙などがあふれて落ちる。流れ落ちる。
    1. [初出の実例]「その石の上に走りかかる水は、小柑子・栗の大きさにてこぼれおつ」(出典:伊勢物語(10C前)八七)
  3. 物があふれて落ちる。はみ出て落ちる。
    1. [初出の実例]「積んでいるトラックからこぼれ落ちるのもあるだろう」(出典:二人の友(1960)〈庄野潤三〉四)
  4. 花や葉などが散って落ちる。散乱する。
    1. [初出の実例]「風のいとさわがしく吹きて、黄なる葉どもの、ほろほろとこぼれおつる、いとあはれなり」(出典:枕草子(10C終)一九九)
  5. 表情態度などにあふれて出る。外に現われる。
    1. [初出の実例]「裾まで愛敬のこぼれおちたるやうに見ゆる、御もてなしなども」(出典:源氏物語(1001‐14頃)竹河)
  6. 今までの主従関係を離れる。
    1. [初出の実例]「今度京の敵を追ひ落とす程ならば、元弘の如く、天下の武士皆こぼれ落て、附き順ひ進らせんずらん」(出典:太平記(14C後)三七)

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