単一で陶磁器の原料となる白色軟質の岩石。微粒の石英,絹雲母(セリサイト)およびカオリナイトを主成分とする。粘土鉱物としては絹雲母を多く含有するが,カオリン質陶石ではカオリナイトを多く含有する。これらはまたパイロフィライト,長石なども少量含有することがある。また長石質陶石もあり,微粒の石英,カリ長石,曹長石に少量の粘土の混在する場合もある。多くは流紋岩,石英安山岩など酸性火山岩の熱水変質作用によって生成したものである。原石のみを砕いて水簸(すいひ)精製を行って高温焼成用の陶磁器原料とするが,色調に悪影響を与える鉄鉱物の混在が問題となる。また和洋食器,タイル,碍子などにも利用する。日本では佐賀県の伊万里焼(有田焼)の原料である有田泉山陶石,天草地方天草陶石,九谷焼の原料となる石川県能美郡,能美市の陶石などが著名である。また中国の江西省景徳鎮で製造される白色の景徳鎮磁器の原料となる精製品の白木土(ペイトンツ)の原石もその一つである。
執筆者:湊 秀雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…【前田 正明】
【製法と素材】
陶磁器は原料,成形法,焼成法(温度),焼き上がったものの硬度,透水性,うわぐすり(釉)の有無,用途などが異なることで多くの種類に分類される(表1)。
[原料]
原料としてはケイ石,粘土,絹雲母,長石,陶石などがある。これらの原料の役割を大別して,(1)骨格成分,(2)成形成分,(3)焼結成分とする。…
※「陶石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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