隠す(読み)カクス

デジタル大辞泉 「隠す」の意味・読み・例文・類語

かく・す【隠す】

[動サ五(四)]
人の目に触れないようにする。物で覆ったり、しまい込んだりする。「姿を―・す」「両手で顔を―・す」「押し入れに―・す」
物事を人に知られないようにする。秘密にする。「身分を―・す」「―・さずに事実を話す」「当惑表情を―・さない」
死者を葬る。
畝傍山東北うしとらのすみのみささきに―・しまつる」〈神武紀〉
おお[用法]
[可能]かくせる
[下接句]頭隠してしり隠さず跡を隠す色の白いは七難隠す髪の長きは七難隠す上手じょうずの猫がつめを隠す爪を隠す能あるたかは爪を隠す
[類語]遮る包み隠す押し隠す覆い隠す覆うくらます潜める忍ばせるかくまう隠し立てひた隠し隠蔽隠匿秘匿

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「隠す」の意味・読み・例文・類語

かく・す【隠】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
  2. 物を人目につかないところに置いたり、覆ったりして、見えないようにする。隠れるようにする。
    1. [初出の実例]「三輪山をしかも隠(かくす)か雲だにも情(こころ)あらなも可苦佐布(カクサフ)べしや」(出典万葉集(8C後)一・一八)
    2. 「住みわびぬ今はかぎりと山里に身をかくすべき宿求めてん」(出典:伊勢物語(10C前)五九)
  3. 事柄を人に知られないようにする。秘密にする。
    1. [初出の実例]「加久左(カクサ)はぬ 明き心を 皇(すめ)らへに 極めつくして 仕へ来る 祖(おや)の司と」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四六五)
    2. 「人けなきはぢをかくしつつまじらひ給ふめりつるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
  4. ( 真実を人に知られないようにするの意から ) いつわる。だます。
    1. [初出の実例]「時に旃荼羅、身命を護らむが為に、弓箭を執持して赤き袈裟を被て、詐(カクシ)て沙門の威儀形相を現して」(出典:地蔵十輪経元慶七年点(883)四)
  5. 死人を葬る。埋葬する。
    1. [初出の実例]「明年(くるつとし)の秋九月乙卯朔丙寅、畝傍山の東北(うしとらのすみ)の陵(みささき)に葬(カクシ)まつる」(出典:日本書紀(720)神武七七年九月(寛文版訓))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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