出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
中国,諸子百家の9種の流派。九流百家ともいう。前漢初期,前後して展開した〈諸子〉の学術を,陰陽・儒・墨・名・法・道徳の〈六家(りくか)〉に要約したのは,司馬遷の父,司馬談の〈六家の要指〉である。さらに前漢後期,すでに国教となって儒家の尊奉した経書は〈六芸(りくげい)〉として別格に扱われ,父業を継いだ劉歆(りゆうきん)が宮廷図書を〈七略〉の類目によって整理したが,それを記録した《漢書》芸文志の〈諸子〉部門は,〈六芸〉からはずされた儒家の書(53家)を筆頭に,道(37家)・陰陽(21家)・法(10家)・名(7家)・墨(6家)と従横(12家)・雑(20家)・農(9家)と小説(15家),の10家者流189家に分類された。うち〈六芸〉を補いうるものは,小説家をはぶいた9家,つまり〈九流〉とされた。以後,〈九流〉によって諸子百家を代表する。
→諸子百家
執筆者:戸川 芳郎
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中国の思想家群の分類法の一つ。具体的には、班固(はんこ)著の『漢書(かんじょ)』芸文志(げいもんし)に掲げる儒家(じゅか)者流、道家(どうか)者流、陰陽家(いんようか)者流、法家者流、名家(めいか)者流、墨家(ぼくか)者流、縦横家(じゅうおうか)者流、雑家者流、農家者流の9学派。これに小説家者流を加えて十家という。これは、劉歆(りゅうきん)著『七略』の分類を踏襲したものだが、それ以前、司馬遷(しばせん)の父、談は、陰陽、儒、墨、名、法、道の六家をあげ、その思想の得失を論じている(『史記』太史公自序)。後代の書目では、新たな分類区別が増加していくが、この現象は、諸子(思想家)の典籍の分類基準の整備というよりは、諸子なることばの内容の変化を意味する。なお、班固は九流十家のおのおのについて、その由来を王官に求める見解を述べているが、従いがたい。
[伊東倫厚]
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…そこには,この6家の長所と短所が要領よく紹介され,道家を他の5家の長所をかねる卓越した術芸とするのにひきかえ,儒家はより劣った学術にすぎず,墨家集団はすでに没落したことを告げている。 《漢書》芸文志には,国家教学と化した儒家の奉持する経書(けいしよ),つまり〈易(えき),書,詩,礼,楽,春秋〉とそれを補助する〈論語,孝経〉などを,劉漢王朝の国家学〈六芸(りくげい)〉として別格にあつかい,その他の学派を百家九流(きゆうりゆう)の〈諸子〉に分属している。これは,劉向・劉歆(きん)父子が,前漢後期,宮廷の蔵書を整理し,その解題〈別録〉と7分類の書目〈七略〉を作成したのを班固がこの類目にそって〈芸文志〉を〈六芸略,諸子略,諸賦略,兵書略,術数略,方技略〉の順に編成したのである。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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