九流(読み)キュウリュウ

デジタル大辞泉 「九流」の意味・読み・例文・類語

きゅう‐りゅう〔キウリウ〕【九流】

中国戦国時代に興った九つ学派儒家道家陰陽家法家名家墨家縦横家雑家農家をいう。九家九学派

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精選版 日本国語大辞典 「九流」の意味・読み・例文・類語

きゅう‐りゅうキウリウ【九流】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 九つの流れ。〔孟浩然‐自潯陽泛舟経明海詩〕
  3. 中国、漢代に書籍を学派に応じて九種に分類したところから、その学派。また、転じて、多方面の学問
    1. [初出の実例]「朕遐想千載、旁覧九流、詳思布政之方、莫仁恕之典」(出典続日本紀‐養老六年(722)四月辛卯)
    2. 「九流・百家に至る、当世無双の宏才博覧也」(出典:平治物語(1220頃か)上)
    3. [その他の文献]〔漢書‐叙伝下〕

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普及版 字通 「九流」の読み・字形・画数・意味

【九流】きゆうりゆう(きうりう)

先秦時代の九学派。儒・道・陰陽・法・名・墨・縦横・雑・農の九家。〔漢書、叙伝下〕劉向を司り、九以て別つ。爰(ここ)に目はし、洪烈を略序す。志第十をぶ。

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改訂新版 世界大百科事典 「九流」の意味・わかりやすい解説

九流 (きゅうりゅう)
Jiǔ liú

中国,諸子百家の9種の流派。九流百家ともいう。前漢初期,前後して展開した〈諸子〉の学術を,陰陽・儒・墨・名・法・道徳の〈六家(りくか)〉に要約したのは,司馬遷の父,司馬談の〈六家の要指〉である。さらに前漢後期,すでに国教となって儒家の尊奉した経書は〈六芸(りくげい)〉として別格に扱われ,父業を継いだ劉歆りゆうきん)が宮廷図書を〈七略〉の類目によって整理したが,それを記録した《漢書》芸文志の〈諸子〉部門は,〈六芸〉からはずされた儒家の書(53家)を筆頭に,道(37家)・陰陽(21家)・法(10家)・名(7家)・墨(6家)と従横(12家)・雑(20家)・農(9家)と小説(15家),の10家者流189家に分類された。うち〈六芸〉を補いうるものは,小説家をはぶいた9家,つまり〈九流〉とされた。以後,〈九流〉によって諸子百家を代表する。
諸子百家
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「九流」の意味・わかりやすい解説

九流
きゅうりゅう

中国の思想家群の分類法の一つ。具体的には、班固(はんこ)著の『漢書(かんじょ)』芸文志(げいもんし)に掲げる儒家(じゅか)者流、道家(どうか)者流、陰陽家(いんようか)者流、法家者流、名家(めいか)者流、墨家(ぼくか)者流、縦横家(じゅうおうか)者流、雑家者流、農家者流の9学派。これに小説家者流を加えて十家という。これは、劉歆(りゅうきん)著『七略』の分類を踏襲したものだが、それ以前、司馬遷(しばせん)の父、談は、陰陽、儒、墨、名、法、道の六家をあげ、その思想の得失を論じている(『史記』太史公自序)。後代の書目では、新たな分類区別が増加していくが、この現象は、諸子(思想家)の典籍の分類基準の整備というよりは、諸子なることばの内容の変化を意味する。なお、班固は九流十家のおのおのについて、その由来を王官に求める見解を述べているが、従いがたい。

[伊東倫厚]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「九流」の意味・わかりやすい解説

九流
きゅうりゅう
Jiu-liu

中国の古代思想家 (諸子百家) の9流派。中国古代に展開した諸思想家の流派分類は,戦国時代末期以来試みられていたが,『漢書』の芸文志にいたって,周代から前漢に及ぶ諸学術を分類,解説し,思想分野については,儒家者流,道家者流,陰陽家者流,法家者流,名家者流,墨家者流,縦横家者流,雑家者流,農家者流の九流に分けた。その後,この説が準用されている。なお,これに小説家者流を加えて,「九流十家」という。

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世界大百科事典(旧版)内の九流の言及

【諸子百家】より

…そこには,この6家の長所と短所が要領よく紹介され,道家を他の5家の長所をかねる卓越した術芸とするのにひきかえ,儒家はより劣った学術にすぎず,墨家集団はすでに没落したことを告げている。 《漢書》芸文志には,国家教学と化した儒家の奉持する経書(けいしよ),つまり〈易(えき),書,詩,礼,楽,春秋〉とそれを補助する〈論語,孝経〉などを,劉漢王朝の国家学〈六芸(りくげい)〉として別格にあつかい,その他の学派を百家九流(きゆうりゆう)の〈諸子〉に分属している。これは,劉向・劉歆(きん)父子が,前漢後期,宮廷の蔵書を整理し,その解題〈別録〉と7分類の書目〈七略〉を作成したのを班固がこの類目にそって〈芸文志〉を〈六芸略,諸子略,諸賦略,兵書略,術数略,方技略〉の順に編成したのである。…

※「九流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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