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雑炊 ぞうすい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

雑炊
ぞうすい

野菜や魚介類を混ぜ,味をつけて炊いたで,古くから行われている調理法の一つ。第2次世界大戦中や戦後の食糧事情の悪い時代には日常食とされたが,現在では一種の嗜好食となっている。米からつくる場合と飯からつくる場合がある。かきに春菊や三葉を加えたかき雑炊,卵を入れた卵雑炊のほか,水炊などの鍋料理の残りに飯を少量入れ,ねぎ,三葉,ゆずなどの薬味とともにあたためたものなどがある。

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デジタル大辞泉の解説

ぞう‐すい〔ザフ‐〕【雑炊】

飯に魚貝や野菜などを加え、醤油味や味噌味の汁で粥(かゆ)状に煮たもの。おじや 冬》「―に非力ながらも笑いけり/虚子
[補説]古くは多く「増水」と書いた。

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百科事典マイペディアの解説

雑炊【ぞうすい】

(かゆ)の一種。女房詞(ことば)でおじや。飯に魚介,野菜類,鶏肉などをまぜ,みそ汁またはすまし汁で煮て作る。飯は米に限らず雑穀も使用,経済的食品として戦時中など窮乏時代に効果があった。

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典の解説

ぞうすい【雑炊】

だし汁で野菜・魚介類・肉などの具を煮て飯を入れ、塩・しょうゆ・みそなどで調味した料理。卵とじにすることも多い。鍋料理を食べたあとに、残った汁でも作る。◇「おじや」ともいう。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぞうすい【雑炊】

飯に野菜,魚貝類,肉類などを加えて出汁で煮,みそやしょうゆで味をつけたもの。多量の水を加えるところから増水とも書き,ダイコンの干葉(ひば)などを米の増量材として加えることも多かった。古く〈みそうず〉といい,女房詞(にようぼうことば)では〈おみそう〉〈おじや〉といった。〈みそうず〉は未曾水,味噌水,醬水などと書かれ,みそで味をつけたための名とされる。消化がよいので病人食にも向き,家庭ではふつう冷や飯を汁に入れて煮ることが多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

雑炊
ぞうすい

穀物調理法の一種で、広義にみると太古の時代から存在した。平安朝の大嘗会(だいじょうえ)では、幄舎(あくしゃ)で給する深夜会食は鴨(かも)雑炊であり、この形態はいまも残っている。正月7日の七草粥(ななくさがゆ)は関東型のもので、関西型のそれはみそ雑炊である。いまでも京都の旧家などでは、正月7日に「ふくわかし」の名でみそ雑炊をつくっている。室町時代、足利(あしかが)将軍家では7種の「みそうず」をつくり、祝い膳(ぜん)とした。みそうずという古語は女房ことばでは「おみそうず」といい、みそを加えた雑炊の意である。「おじや」も昔の女房ことばである。元来、雑炊は(こながき)といい、穀類の粉末に熱湯を加えてかき混ぜ、補食にするか、またはこれに薬草などを加えて薬用食、健康食としたのである。雑炊の文字は、野菜、魚貝類などを米や穀類に加えて混ぜ合わせ、炊き上げるものの意であるが、水を多く加える意で、増水の文字を用いることもあった。
 粥(かゆ)と雑炊の区別は、古くは粥は全然塩味を加えないもので、雑炊は適当に塩味や調味をしていいことになっている。昔から節米のために雑炊を用いたこともある。1945年(昭和20)の終戦前後にも節米のために、雑炊食堂が開かれた。また、病弱者の消化吸収に役だつために、雑炊を用いることは古来その実例が多い。寒い地方では保温食としての雑炊があるし、嗜好(しこう)食としての雑炊はいまもつくられている。鶏肉、卵、カキ、アユ、貝柱、ニラ、モズクや、コンビーフ、ハム、ソーセージなどを用いたものもある。[多田鉄之助]

作り方

雑炊はさらっと仕上げ、粘らさないことである。炊きたてのご飯はそのまま用いるが、冷やご飯はざるに入れて、水の中で振り洗いして用いると、さらりと仕上がる。ご飯とだし汁の割合は1対2~3くらいが標準である。だし汁を煮立て、堅い具はここで入れ、柔らかくしてから酒、塩、しょうゆ、みそなどで調味し、ご飯を加える。長く煮すぎると粘りが出るので、ご飯が熱くなる程度で火からおろす。[河野友美]

郷土料理

各地でいろいろな雑炊がつくられている。
(1)あゆ雑炊 岐阜県には長良川(ながらがわ)でとれるアユを使った雑炊がある。これは米からつくる。米とだしをあわせて火にかける。ほぼ炊きあがったころアユを姿のまま加え、火が通ったらアユの骨をすっと除き、塩、しょうゆで調味し、ネギのみじん切りを散らす。徳島県の雑炊もアユは姿のまま使うが、赤みそ仕立てにする。具にはタマネギ、ナスなどが用いられる。吉野川や那賀川(なかがわ)でとれるアユが使われる。
(2)あおさ雑炊 愛媛県の川でとれる藻類の一種アオサを用いた雑炊。細く切ったニンジン、ゴボウ、シイタケ、薩摩揚(さつまあ)げなど、それに餅(もち)も加えた中に、仕上がりぎわにアオサを入れた緑色の鮮やかな雑炊である。
(3)ふーちばーぼろぼろじゅーしー 「ふーちばー」とはヨモギのことで、沖縄県独特の雑炊。鍋(なべ)に、だし、米あるいはご飯、葉先を摘み取ってよくもみ洗いしたヨモギ、ゆでて短冊に切った豚三枚肉を入れ、弱火で約1時間ゆっくりと煮て、最後に塩、しょうゆ、酒で味をととのえる。[河野友美]

民俗

地方によってオジヤ、イレメシ、ニマゼ、ミズマシなどともいい、一般には食い延ばしの食法とされている。しかし九州地方では、1月7日、7歳の子供は7軒の家から七草ズシ(雑炊)をもらって食べると長生きするといったり、また、中部地方では、盆にツジメシ、カワラメシといって、精霊に供えた供物を集め、子供たちが辻(つじ)や川原で雑炊にして食べる習俗がある。いずれも正月の雑煮と同じく、神仏への供物をいっしょに煮て人間も食べる、神人共食のハレの食法であったことを示すものである。沖縄地方では「じゅーしー」(雑炊の訛言(かげん))といい、水分の多少はあるが、御馳走(ごちそう)の一つとされている。[鎌田久子]

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世界大百科事典内の雑炊の言及

【粥】より

…またサトイモ,サツマイモ,ダイコン,トチの実などを増量材として加えたものも行われていた。味をつけずに水から煮るのを本格とする考え方もあるが,塩はもちろん,茶で煮る茶粥,そのほか甘味料で煮たものをも粥と称しており,雑炊(ぞうすい)との区別の基準はかならずしも明確ではない。現在一般に行われている粥の作り方は,米を洗って行平(ゆきひら)か土なべのような厚手のなべに入れ,水を加えて30~60分吸水させてから火にかける。…

※「雑炊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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