電源開発(株)(読み)でんげんかいはつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「電源開発(株)」の意味・わかりやすい解説

電源開発(株)
でんげんかいはつ

電力卸事業を基盤とする電力会社。1952年(昭和27)電源開発促進法(昭和27年法律第283号)により政府関係特殊会社として創立。第二次世界大戦後の経済復興の基盤となる電源開発を強力に進めるために設立され、当初は佐久間(静岡県)、奥只見(おくただみ)(福島県)など開発困難な地点一連の大規模水力発電所を建設。民間電力会社の電源開発が軌道にのり電力需給が好転したのちは、電力の広域運営に積極的に参加し、本州・四国間の送電線の敷設や、東日本と西日本を連係する周波数変換所の建設などにあたった。1973年のオイル・ショック後は新エネルギーの開発を目ざすサンシャイン計画に参画し、太陽熱発電や地熱発電に取り組んだ。1997年(平成9)閣議で民営化が決定。2003年に電源開発促進法が廃止され、電源開発(株)は民営化された。2002年から、コミュニケーションネームとして「J-POWER」という呼称を使用している。資本金1524億円(2010)、売上高6360億円(2010。連結)。橘湾(たちばなわん)火力、新豊根(しんとよね)(水力)など、全国各地に多数の発電所をもつ。

[橘川武郎]

『30年史編纂委員会編『電発30年史』(1984・電源開発株式会社)』『橘川武郎著『日本電力業発展のダイナミズム』(2004・名古屋大学出版会)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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