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顕戒論 けんかいろん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

顕戒論
けんかいろん

最澄著作。3巻。弘仁 10 (819) 年成立。大乗戒壇設立に対する南都諸宗の論難に対し,大乗戒が経論に基づいた根拠あるものであることを説き明かし,新教団の設立許可を時の政府に訴えたもの。日本の天台宗が成立するための根本理論が述べられている。

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デジタル大辞泉の解説

けんかいろん【顕戒論】

平安初期の仏教書。3巻。最澄著。弘仁11年(820)成立。南都諸宗の論難を論駁(ろんばく)し、天台円戒の特色を明らかにして、天台宗成立の根拠となった書。

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百科事典マイペディアの解説

顕戒論【けんかいろん】

仏書。3巻。最澄(さいちょう)の著(820年)。819年上奏した大乗戒壇設立の願文《四条式》に対する南都諸宗の論難に反論し,大乗戒の思想を端的に語り,新教団設立を朝廷に訴えたもの。

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世界大百科事典 第2版の解説

けんかいろん【顕戒論】

天台宗の開祖最澄の著書,3巻。最澄は819年(弘仁10)かねてより念願の〈菩薩僧〉の養成をめざし〈天台法華宗年分度者回小向大式(四条式)〉を制定,比叡山に大乗戒壇設立を朝廷に申請した。これに対して南都の僧綱(そうごう)は護命(ごみよう)以下6名が連署して抗論した。そこで最澄は翌年,僧綱の意見に逐一批判を加え,あらためて〈四条式〉の趣旨を詳しく論証したのが本書である。最澄の主張は,出家僧の受ける戒を小乗具足戒(二百五十戒)から大乗の菩薩戒(十重四十八軽戒)にかえるという,当時の戒律観を転倒させる画期的なものであった。

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大辞林 第三版の解説

けんかいろん【顕戒論】

最澄著。三巻。820年、南都諸宗からの論難に対して大乗戒壇の正当性と、大乗戒(円頓戒)の本旨を説く。天台宗成立の理論的根拠となる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

顕戒論
けんかいろん

平安初期の仏教書。最澄(さいちょう)著。3巻。最澄は仏教による護国を実現するためには、純粋な大乗の菩薩(ぼさつ)僧の養成が不可欠であると考えた。そこで比叡山(ひえいざん)に新たに大乗の戒律だけによる受戒によって僧の資格を与える大乗戒壇の設立を志し、天台宗の僧の養成の規則(『山家学生式(さんげがくしょうしき)』)の認可を朝廷に請うた。奈良の仏教界はこれに対して強く反対したため、僧綱(そうごう)の四条式(山家学生式の一つ)への批判に対して最澄が反駁(はんばく)を加えながら、戒律思想を詳説したのが本書である。全体を5篇(へん)に分かち、56明拠(明らかな証拠)をあげて、大乗の寺院のあり方、『梵網経(ぼんもうきょう)』に説かれている大乗の僧の戒律、受戒の儀式の仕方、そのほか関連する事項について説かれている。819年(弘仁10)に著し、翌年朝廷へ提出した。なお、大乗戒壇設立は、最澄没後7日目の822年6月11日に許可された。[田村晃祐]
『安藤俊雄・薗田香融校注『最澄』(『日本思想大系4』1974・岩波書店)』

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