風祭(読み)かざまつり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

風祭
かざまつり

主として二百十日,二百二十日や八朔 (はっさく) などの台風の時期に,作物風害から避けようとする祈願行事。風籠り,風日待などといって,神社やお堂にお籠りする形が最も一般的で,各戸から1人ずつ出て飲食しながら祈願したり,念仏を称えたり,100万遍の数珠繰りをする。関東から東北にかけては,風穴ふたぎといって団子をつくって家々の神棚に供える。風祭のためと称して獅子舞をするところもあり,長野県をはじめ諏訪信仰の広がる地方では,風を切るまじないである風切り鎌を棟や軒につけたりする。富山県には吹かぬ堂という風神堂が十数ヵ所あり,そこで大風が吹かないように祈る。奈良県竜田神社の風の神祭は古くから有名であるが,伊勢の風の宮,長野県諏訪神社の薙鎌を立てての風祭,熊本県阿蘇神社の風鎮祭なども知られている。

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百科事典マイペディアの解説

風祭【かざまつり】

風害をしずめ豊作を祈る祭。日本全国に行われ,二百十日ごろが特に多い。単純なお参りから,おこもり,お日待,獅子(しし)舞,念仏,祈祷(きとう)などが行われ,風を切るまじないとして鎌を立てるところもある。奈良竜田大社風神祭などが名高い。

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世界大百科事典 第2版の解説

かざまつり【風祭】

作物に暴風の被害がないように祈願する祭り。台風の来襲時期とされる二百十日前後に行うことが多い。旧暦8月1日ころになるので,八朔(はつさく)の行事にもなっている。普通,風日待(かざひまち)といって,仕事を休み,村人が集まって飲食をしたり,風止め籠りなどと称して村の神社にお籠りをするなど,簡単な神祭りの形式をとる。新潟県弥彦神社の二百二十日の風祭や,兵庫県伊和神社の二百十日の7日前の風鎮祭など,神社の神事にもなっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

風祭
かざまつり

風害防除の祈願。稲への害をとくに恐れるため、収穫を直後に控えて台風の被害が憂慮される八朔(はっさく)や二百十日およびその前後に行われ、共同祈願の形式をとることが多い。方法は、村人が神社や堂で忌籠(いみごも)り精進(しょうじん)したり、獅子舞(ししまい)や囃子(はやし)を奉納して無事を祈ること、大注連縄(おおしめなわ)を村の入口に張り渡して風の悪霊の入来を防ぐこと、大声で騒ぎたてたり、藁(わら)人形に悪神を負わせて辻(つじ)や村境に送り出そうとするなど、土地によってさまざまである。社寺からの風除(よ)けの神札を田畑に立てることや、草刈鎌(かま)を庭先高く掲げて吹く風を切り払おうとする呪術(じゅじゅつ)も広く行われる。古来から有名な奈良県の龍田(たつた)大社や伊勢(いせ)の風の宮、各地の穴師(あなし)神社など、風の神を祀(まつ)る神社に参ったり、村単位で風神宮という小祠(しょうし)を祀る所も各地にある。また、富山県には風の神を祀る「ふかぬ堂」が十数か所あるし、新潟県には風の三郎なるものを祀る小祠や、風袋を背負っている風神(ふうじん)の石像も少なくなく、祈願の対象とされている。これらは農民のものであるが、かつては、山から吹き下ろす風を求めて「たたら」に利用しようとする製鉄業者などの風に対する別の観念の存在したことも、予想される。[田中宣一]

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精選版 日本国語大辞典の解説

かざ‐まつり【風祭】

〘名〙 秋の収穫前に大風が吹くのをおそれ、風を鎮め、豊作を祈るために二百十日、二百二十日や八朔(はっさく)の頃行なわれる祭。奈良県三郷町にある龍田大社(風神である龍田姫と龍田彦をまつる)のものが古くから有名。風の神祭。風日待(かざひま)ち。風鎮祭(ふうちんさい)。かぜまつり。
※万葉(8C後)九・一七五一「山おろしの 風な吹きそと うち越えて 名に負へる社(もり)に 風祭(かざまつり)せな」

かぜ‐まつり【風祭】

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世界大百科事典内の風祭の言及

【風】より

… 《十訓抄(じつきんしよう)》には,信濃の国は風早き所なので,〈風の祝(はふり)〉という神職を置き,100日間忌みこもることが記されている。古くから風祭が行われていたことが知られる。〈風の又三郎〉は東北地方でいう妖怪で,新潟県などでいう〈風の三郎様〉とともに,風の神としてまつられる。…

【二百十日】より

…9月1日ごろになる。220日目の二百二十日とともに,台風が来襲する厄日とされ,この日を中心にして風の害を防ぐための風祭(かざまつり)を行う風習があった。古来,稲の穂ばらみ期であるので,暴風を警戒したといわれる。…

【八朔】より

…これら贈答の習俗は上流文化の影響というが,室町時代に盛行した〈たのみ〉〈たのも〉などという進物を贈答し合う風は,農村に基盤をもつ武家の風が取り入れられたものといわれ,農作を助け合った間柄で,神供としての田実,すなわち初穂などを贈り合ったことに源があるのではないかとされている。豊作祈願と風祭をかねて宮籠りをする所や嫁の里帰りの日とする所もある。八朔を昼寝の終期,夜なべの初日とする所の多いのは,これ以後が本格的な収穫期に入るからだろう。…

※「風祭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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