デジタル大辞泉 「駒牽き」の意味・読み・例文・類語 こま‐ひき【駒×牽き/駒引き】 《「こまびき」とも》1 馬を引くこと。また、その者。2 平安時代、毎年4月に、天皇が群臣とともに武徳殿において、馬寮めりょうの馬を御覧になる儀式。5月の騎射に備えたもの。3 平安時代、毎年8月、甲斐・武蔵・信濃・上野こうずけの牧場から貢進する馬を天皇が紫宸殿ししんでんで御覧になる儀式。秋の駒牽き。「今日は―とて、左馬寮の使、国々の御牧みまきの駒を奉る」〈保元・上〉4 「駒牽き銭ぜに」の略。「なめし革の巾着に―の根付をさげ」〈浮・男色大鑑・五〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「駒牽き」の意味・読み・例文・類語 こま‐ひき【駒牽・駒引】 〘 名詞 〙 ( 「こまびき」とも )① 平安時代、毎年八月中旬に、諸国の牧場から献上した馬を天皇に御覧に入れる儀式。天皇の御料馬を定め、また、親王、皇族、公卿にも下賜された。もと、国によって貢馬の日が決まっていたが、のちに一六日となり、諸国からの貢馬も鎌倉末期からは信濃の望月の牧の馬だけとなった。秋の駒牽。《 季語・秋 》 〔九暦‐九条殿記・駒牽・天慶元年(938)九月七日〕[初出の実例]「駒ひきの木曾やいづらん三日の月〈去来〉」(出典:俳諧・去来抄(1702‐04)先師評)② 平安時代、毎年四月二八日(小の月は二七日)に、武徳殿で天皇が馬寮の馬を御覧になった儀式。天皇が前庭を通る馬を御覧になり、その後で楽舞の演奏、饗宴が行なわれた。五月五日の騎射の準備。《 季語・夏 》 〔九条家本延喜式裏文書‐康保三年(966)五月一七日・清胤王藤原頼国連署状〕③ 「こまひきせん(駒牽銭)」または「こまひきぜに(駒牽銭)」の略。[初出の実例]「むかし印籠になめし革の巾着(きんちゃく)に、駒引(コマヒキ)の根付をさげ」(出典:浮世草子・男色大鑑(1687)五)④ 植物「すみれ(菫)」の異名。〔いろは字(1559)〕 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例