高床(読み)タカユカ

精選版 日本国語大辞典 「高床」の意味・読み・例文・類語

たか‐ゆか【高床】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 床を高く張った建物。銅鐸文様家屋文鏡などにみられる、倉庫、豪族の居宅がそれである。奈良東大寺正倉院もこの種の建築様式一例
    1. 高床<b>①</b>〈袈裟襷文銅鐸〉
      高床袈裟襷文銅鐸
  3. 高く張った板敷きの床。人がすわったり往来したりする所。
    1. [初出の実例]「たかゆかに上り、足の指を爪立てて」(出典:曾我物語(南北朝頃)二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「高床」の意味・わかりやすい解説

高床
たかゆか

床高の高い建物。弥生(やよい)時代に倉庫として現れる。香川県出土と伝える銅鐸(どうたく)や奈良県・唐古(からこ)遺跡出土の土器に線刻の絵があり、また、静岡県の登呂(とろ)および山木(やまき)の遺跡では、その部材も出土している。古墳時代になると、奈良・佐味田宝塚(さみだたからづか)出土の家屋文鏡に入母屋(いりもや)造の高床住居の絵がみられる。一方、埴輪(はにわ)にも切妻(きりづま)造や入母屋造の高床の家形埴輪があり、なかには千木(ちぎ)、堅魚木(かつおぎ)を屋根に飾るものがある。このような建物は貴人の住宅など主要な建物とみられ、神明(しんめい)造や大社(たいしゃ)造の神社本殿は、高床倉庫と宮殿住宅とを表現したものと思われる。正倉院宝庫をはじめ校倉(あぜくら)、板倉の倉庫には高床のものが多い。平安宮の紫宸殿(ししんでん)などの宮殿や、神社本殿が高床につくられるのは、古代からの踏襲と解される。

[工藤圭章]

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