鱗木(読み)リンボク(その他表記)Lepidodendron

デジタル大辞泉 「鱗木」の意味・読み・例文・類語

りん‐ぼく【×鱗木】

ヒカゲノカズラ近縁化石シダ類。古生代石炭紀に繁栄し、ペルム紀絶滅。高さ約30メートルの巨木で、頂部で分枝し、幹に葉の落ちたあとがうろこ状に配列。炭化して良質の石炭となった。レピドデンドロンうろこぎ。

うろこ‐ぎ【×鱗木】

りんぼく(鱗木)

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精選版 日本国語大辞典 「鱗木」の意味・読み・例文・類語

うろこ‐ぎ【鱗木】

  1. 〘 名詞 〙 巨大なシダ植物現生のヒカゲノカズラに近縁の化石植物で、古生代の石炭紀に繁茂し二畳紀に滅びた。高さ約三〇メートル、直径約二メートルにもなり、幹は上部で二股に分枝し、また、さらに二つに分かれる。幹面には葉根が脱落した菱(ひし)形の跡が鱗状をして残っている。葉は鱗片状で、枝面にらせん状に密生する。りんぼく。

りん‐ぼく【鱗木】

  1. 〘 名詞 〙 古生代石炭紀初期から二畳紀にかけて繁栄した、シダ植物の一群。高さ二〇メートル以上、径約二メートル。落葉した跡がうろこのように残る。石炭の原木一種。うろこぎ。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「鱗木」の意味・わかりやすい解説

鱗木 (りんぼく)
Lepidodendron

ヒカゲノカズラ類(小葉類)に属する絶滅シダ植物の1属。レピドデンドロンまたはうろこ木ともいう。約3億年前の石炭紀から二畳紀にかけて大発展をとげ,石炭紀湿地林の主要木となった。茎は二次肥大生長をし,20~30mの大木で,高いところまで分岐せず,頂上付近で数回分岐して樹冠をつくる。茎の表面は一面ひし形,鱗状の紋様でおおわれ,そのため鱗木と名づけられた。これは葉の落下した跡を示す。地下部は樹冠同様,二叉(にさ)分岐するのが特徴。葉は単脈線形で幼枝にのみらせん状に密生し,花は球果状で頂生または側生する。各芽胞葉はその上面に1個ずつの芽胞囊をつける。古くなった枝幹からは葉片が脱落し特有の葉根部の跡を残す。これが化石として普通に発見されるものである。欧米植物群では石炭紀に大発展したが,その末期には絶滅し二畳紀にはほとんど見られない。東アジアのカタイシア植物群では二畳紀まで産する。中国,朝鮮でも二畳紀まで多産し,その末期に絶滅した。高知県横倉山のデボン系からは,祖先系のレプトフレウムLeptophloeumが報告されている。宮城県利府の三畳系から発見されたものは最も新しい。現生草本で20cm内外のヒカゲノカズラ類は石炭紀の巨木鱗木の子孫系である。石炭紀に20~30mに生長できたヒカゲノカズラ類が,現在では小草本にしか生長できない,この巨木と小草本の違いは当時と現在との環境の違いを示している。これは温暖湿潤の石炭紀から現在の夏と冬の温度差のきびしい気候に移り変わったことを示している。
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百科事典マイペディア 「鱗木」の意味・わかりやすい解説

鱗木【りんぼく】

レピドデンドロンとも。石炭紀ペルム紀に栄えた巨大なシダ植物。ヒカゲノカズラ類に属し,当時形成された石炭の根源植物の一つ。高さ30m,幹の太さは根元で直径1m以上。木の頂部に多くの枝が分岐。枝の先に大きな胞子嚢の穂がついていた。葉は細長く,長さ10〜50cm。生長につれ葉が脱落し,葉痕(ようこん)が魚鱗状に並ぶのでこの名がある。日本では北上高地や四国から近縁のレピドデンドロプシス,レプトフローエムが出土。
→関連項目石炭

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鱗木」の意味・わかりやすい解説

鱗木
りんぼく

鱗木類

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鱗木」の意味・わかりやすい解説

鱗木
りんぼく

「レピドデンドロン」のページをご覧ください。

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