(読み)キビ

デジタル大辞泉 「黍」の意味・読み・例文・類語

きび【×黍/×稷】

《「きみ」の音変化》
イネ科一年草。高さ約1メートル。葉は幅広の剣状。夏から秋にかけ、茎の頂に多数の花穂をつけ、実ると垂れる。実は2ミリほどの扁球形で、白または黄色。インドの原産で、古くから穀物として栽培ウルキビモチキビなど多くの品種がある。 秋》「―刈てのき朝日土間に入る/子規
トウモロコシの別名。
[類語]あわひえコーリャン蜀黍もろこし

しょ【黍】[漢字項目]

[音]ショ(呉)(漢) [訓]きび
〈ショ〉穀物の名。キビ。モチキビ。「黍稷しょしょく
〈きび〉「砂糖黍さとうきび

きみ【×黍/×稷】

きび(黍)」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「黍」の意味・読み・例文・類語

きび【黍・稷】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「きみ(黍)」の変化した語 ) イネ科の一年草。東アジアから中央アジアの原産で、穀物として新石器時代から、ユーラシアで栽培され、日本には彌生時代に大陸から渡来し、現在では主に北海道、広島県、徳島県、熊本県などで栽培されている。稈(かん)は直立叢生して、高さ一メートル以上になる。葉は互生し、細長い剣状で幅約一・三センチメートル、葉鞘(ようしょう)とともに長い毛を密生する。秋、茎頂から円錐形の花穂をたれる。きみ。こきび。《 季語・秋 》 〔観智院本名義抄(1241)〕
  3. 植物もろこし(蜀黍)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕

きみ【黍・稷】

  1. 〘 名詞 〙
  2. きび(黍)
    1. [初出の実例]「梨棗(なつめ)寸三(きみ)に粟次ぎ蔔(は)ふ田葛(くず)の後(のち)も逢はむと葵花咲く」(出典万葉集(8C後)一六・三八三四)
  3. 植物「とうもろこし(玉蜀黍)」の異名。〔物類称呼(1775)〕

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普及版 字通 「黍」の読み・字形・画数・意味


12画

[字音] ショ
[字訓] きび

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
禾(か)+水。〔説文〕七上に「禾の屬にして黏(ねば)りあるなり。大を以て種(う)う。故に之れを黍と謂ふ。禾に從ひ、雨(う)の省聲なり」とするが、卜文は禾と水とに従う。黍酒を作る意であろう。卜辞に「黍は年(みのり)を受(さづ)けられんか」と卜する例が多い。祭祀には黍稷(しよしよく)や黍酒を多く用いた。〔書、君陳〕「黍稷馨(かんば)しきに非ず。惟(こ)れ馨し」の語がある。祭器は、黍稷を盛(い)れるものであった。

[訓義]
1. きび。
2. 黍酒、その器。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕黍 キビ 〔字鏡〕黍 キビ・アハ 〔字鏡集〕黍 キビ・アカキビ・ネヤス

[語系]
〔説文〕に「大を以て種(う)う」とするのは、黍・(暑)sjiaの同音による音義説である。黍の古名「きみ」は黄色の実の意。黍の声も、あるいは赭tjya、朱tjioなどと関係があるかもしれない。

[熟語]
・黍黍禾・黍黍粢黍尺・黍黍穣・黍稷・黍薦・黍・黍飯・黍苗・黍・黍離・黍粱・黍累
[下接語]
委黍・禾黍・秬黍・鶏黍・黄黍・膏黍・十黍・嘗黍・稷黍・炊黍・赤黍・団黍・豆黍・登黍・麦黍・離黍・累黍

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動植物名よみかた辞典 普及版 「黍」の解説

黍 (キビ)

学名:Panicum miliaceum
植物。イネ科の一年草

黍 (キビ・キミ)

植物。イネ科の一年草。モロコシの別称

黍 (モチキビ)

植物。黍の品種

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