黒手組曲輪達引(読み)くろてぐみくるわのたてひき

精選版 日本国語大辞典 「黒手組曲輪達引」の意味・読み・例文・類語

くろてぐみくるわのたてひき【黒手組曲輪達引】

  1. 歌舞伎世話物発端と三幕。河竹黙阿彌作。安政五年(一八五八江戸市村座で、「江戸桜清水清玄」の二番目狂言として初演講談花川戸助六」に題材をとり、助六が父のかたき鳥井新左衛門を討つ筋。通称黒手組の助六」。

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改訂新版 世界大百科事典 「黒手組曲輪達引」の意味・わかりやすい解説

黒手組曲輪達引 (くろてぐみくるわのたてひき)

歌舞伎狂言。世話物。4幕。河竹黙阿弥作。通称《黒手組の助六》。1858年(安政5)3月江戸市村座で《江戸桜清水清玄(えどざくらきよみずせいげん)》の二番目狂言として初演。講釈の《花川戸の助六》に材をとり,歌舞伎十八番の《助六》を世話物を本領とした4世市川小団次に当てて書き替えた生世話の助六劇。配役は花川戸の助六を4世市川小団次,三浦屋揚巻のち助六女房お巻を4世尾上菊五郎,紀の国屋文左衛門・牛若伝次を河原崎権十郎(のちの9世市川団十郎),鳥井新左衛門・白酒売新兵衛を3世関三十郎等。新兵衛は年貢未進のため娘お巻を吉原へ売る。その金を帰り道に牛若伝次にすり取られ,助けようとした助六の父は鳥井新左衛門のため闇討にあい,北辰丸の名刀は奪われる。近江屋の番頭権九郎は三浦屋の白玉と駆落ちし,池之端で白玉の情夫牛若伝次に金をとられ,池の中へつき落とされる。伝次は捕手に襲われるが50両の金を新兵衛の白酒の桶にかくして引かれてゆく。黒手組の助六は父の敵探索のため吉原へ通い,三浦屋の揚巻をめぐって鳥井らと対立。助六は狼藉(ろうぜき)から救った新兵衛が揚巻の父親であることを知る。紀伊国屋文左衛門喧嘩をいましめられ,助六は鳥井らの打擲(ちようちやく)を我慢する。揚巻は身請され助六の女房となったが,極印のある金から助六は盗賊の疑いをかけられる。助六は心にもなく女房を愛想づかししたうえ離縁し,その金を出した新兵衛をかばって召し捕られる。後になって白玉と伝次が自首して出たため,助六は許される。
助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「黒手組曲輪達引」の意味・わかりやすい解説

黒手組曲輪達引
くろてぐみくるわのたてひき

歌舞伎(かぶき)脚本。世話物。3幕。河竹黙阿弥(もくあみ)作。通称「黒手組助六(すけろく)」。1858年(安政5)3月、江戸・市村座で4世市川小団次の助六、4世尾上(おのえ)菊五郎の揚巻(あげまき)、3世関三十郎の鳥居新左衛門・白酒売新兵衛らにより初演。作者が小団次の注文に応じ、講談をもとに書いたもので、初演のときは『江戸桜清水清玄(えどざくらきよみずせいげん)』の二番目であったが、のち独立して表記の名題(なだい)になった。黒手組の助六は愛人三浦屋揚巻をめぐり鳥居新左衛門と対立、鳥居の門弟の乱暴から白酒売の新兵衛を助けたのが原因で喧嘩(けんか)になるが、紀国屋(きのくにや)文左衛門に短気を戒められ、しんぼうして鳥居の手籠(てご)めにあったあと、父の仇(あだ)を鳥居と知り駒形河岸(こまがたがし)で討ち果たす。歌舞伎十八番の『助六』を世話に直したパロディーで、脚本にも演出にもその洒落(しゃれ)がみられる作品。なお、序幕は清元(きよもと)『忍岡恋曲者(しのぶがおかこいはくせもの)』による三枚目の番頭権九郎と三浦屋白玉の道行で、結局は権九郎が白玉の情夫牛若伝次に金も女も奪われる話。後世、助六役者が権九郎も勤めて愛嬌(あいきょう)を振りまく型が通例になり、さらに伝次と3役替わる型も行われている。

[松井俊諭]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「黒手組曲輪達引」の意味・わかりやすい解説

黒手組曲輪達引
くろでぐみくるわのたてひき

歌舞伎狂言。3幕。世話物。安政5 (1858) 年江戸市村座で『江戸桜清水清玄 (えどざくらきよみずせいげん) 』の2番目として初演。歌舞伎十八番の『助六』 (→助六由縁江戸桜〈すけろくゆかりのえどざくら〉) 上演を望む4世市川小団次のために,2世河竹新七 (→河竹黙阿弥 ) が「生世話の助六」として書きおろしたもの。今日では通常,助六と三枚目の権九郎の二役早替りの演出が行われ,序幕に権九郎と新造白玉の道行「忍岡恋曲者 (しのぶがおかこいのくせもの) 」 (初演時は吾妻路浄瑠璃,現行は清元) がある。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「黒手組曲輪達引」の解説

黒手組曲輪達引
くろてぐみ くるわのたてひき

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
作者
河竹新七(2代)
初演
安政5.3(江戸・市村座)

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