( [ 一 ]⑨について ) 明治三年(一八七〇)、新式郵便の実施を前に、前島密(まえじまひそか)が、国家が料金を収納したことを証する Postage stamp に対応する語として「切手」を採用した。明治初期は手形や入場券などもまだ「切手」と呼んでいたため、「郵便切手」「賃金切手」と呼ばれることもあった。
切符(きつぷ)/(きりふ)と手形を合わせた語で,証券,証書などの意。《日葡辞書》に〈Qitte 何か物などの引渡しを命ずる証拠の紙,または書付〉と見え,中世では為替をさすことが多く,近世では往来手形などの通行証や営業許可証,あるいは入場券や商品券などをいった。明治初年には鉄道の乗車券が切手と呼ばれたこともあり,郵便事業開始後は郵便切手がしだいにこの称を独占するようになって現在に至っている。通行証としての用例は江戸城門の名にも見られる。大奥に通ずる切手御門(きつてごもん)がそれで,ここには切手番所が置かれ,切手番頭(ばんがしら)以下が出入りの者の監視にあたった。商品券としての切手では,そばや菓子のものがよく知られている。そばの切手は業者が〈引越しそば〉なるものを考案,普及させてからのもので,たぶん幕末近くに始まると思われる。現在ではほとんど見られなくなったが,菓子の切手も第2次世界大戦前までは葬儀の会葬者にくばることが多かった。江戸時代の大坂では,高麗橋3丁目の虎屋のまんじゅう,ようかんの切手が有名だった。この店の菓子は美味で価格も安かったためたいへんな人気で,連日早朝から夜まで繁盛したといい,10cm×24cmほどの杉原紙に刷った切手もおびただしく発行された。市内に火事があると虎屋の切手も焼けたといわれ,天保(1830-44)末年ごろから経営が悪化すると,これらの切手を抵当にして金策したこともあったらしく,市内各所で〈とら屋切手あり〉とのはり札が見られたと《浪華百事談》は記している。
→郵便切手
執筆者:鈴木 晋一
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