御用新聞(読み)ゴヨウシンブン

デジタル大辞泉 「御用新聞」の意味・読み・例文・類語

ごよう‐しんぶん【御用新聞】

時の政府保護を受けて、その政策擁護宣伝になるような報道に努める新聞

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「御用新聞」の意味・読み・例文・類語

ごよう‐しんぶん【御用新聞】

  1. 〘 名詞 〙 時の政府・権力者の保護を受けて、その政策の弁護・宣伝のための論説・報道を掲載する新聞。御用紙。〔東京日日新聞‐明治二五年(1892)一月二一日〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「御用新聞」の意味・わかりやすい解説

御用新聞 (ごようしんぶん)

政府,権力者などに保護されて,その政策,方針を擁護,宣伝する新聞。政府を擁護する場合が多いので,政府御用新聞ということがある。〈御用学者〉〈御用組合〉などとともに,権力に迎合し,自主性の欠如したものを軽べつする意味合いをもっている。欧米においても支持政党を明確にした新聞や,政府自身が保有し宣伝活動を行う新聞のような例は多いが,日本の御用新聞は明治時代前半に集中してみられ,西欧のものとは歴史上の意味は大きく異なる。明治維新期の新聞の大部分は,《郵便報知新聞》の駅逓寮御用,《日新真事誌》の左院御用のように,政府の御用新聞であるといってよい。新聞は文明開化を推進する政府の,上意下達のコミュニケーション・システムの一翼を担うことを誇りとしていた。御用新聞であることが,官尊民卑風潮のなかで民衆からの信用と尊敬をえるのに大きく役だった。1874年に《東京日日新聞》が太政官記事御用達を掲げだすと,部数は急増し,社長兼主筆の福地桜痴名声も高まった。しかし自由民権運動の高まりとともに,政府批判と御用新聞批判が連動し,御用新聞の代表格である《東京日日新聞》への批判が高まってきた。同紙は政府を代弁するあまり,政府側に不利な事実の報道を怠っているという攻撃を受けたため,御用新聞であることが,経営的にもしだいにマイナスとなってきた。明治後期の《国民新聞》のような御用新聞は,読者からボイコットや焼打ちにあう。そのため,各紙とも御用新聞イメージの払拭に努め,不偏不党や中立を標榜するようになる。しかし隠れて政府の保護を受けたり,結果的に政府擁護を行う新聞が少なくないことは,洋の東西を問わない。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「御用新聞」の意味・わかりやすい解説

御用新聞
ごようしんぶん

政府や政党,ときには大会社など,権力者の利益を守ろうとする新聞。フランスで 1631年にテオフラスト・ルノドーが宰相アルマン・ド・リシュリューの援助を受けて創刊した『ガゼット』は,その後もブルボン王朝の手厚い保護のもとに官報の役割を果たした御用新聞の代表である。日本では明治5(1872)年に創刊された『東京日日新聞』が,創刊時代から司法省筋の援助を受けていたが,1873年12月に福地源一郎が入社してからは,いっそう政府との結びつきを強め,御用新聞の代表的存在であった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の御用新聞の言及

【商業新聞】より

…販売収入,広告収入などを経営の基盤とし,利潤の獲得を前提とする新聞。日本では明治初期の新聞発達初期には,大(おお)新聞と小(こ)新聞があり,前者は政論中心であってそのほとんどは政府・政党から資金援助を受けることの多い御用新聞や政党新聞で,利潤獲得は第二義的であったのに対し,後者はそのような援助を受けることが少なく,企業存続のために利潤を得る必要があった。日本の商業新聞はこの小新聞を源流にして,明治後期から急速に発展して現在に至っている。…

※「御用新聞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android