(読み)カカト

デジタル大辞泉 「踵」の意味・読み・例文・類語

かかと【×踵】

足の裏の後部足首の下にあたる部分。くびす。きびす。「を上げる」
靴など、履き物の後部。「がすり減る」「を踏んで履く」
[類語](1くびすきびす/(2ヒール

きびす【×踵】

かかと。くびす。
履物の、かかとにあたる部分。
くつの―を、刀にて切りたるやうに」〈宇治拾遺・二〉
[類語]くびす

くびす【×踵】

足の裏の後部。かかと。きびす。
[類語]きびす

しょう【踵】[漢字項目]

[音]ショウ(漢) [訓]かかと くびす きびす
かかと。「接踵旋踵

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「踵」の意味・読み・例文・類語

かかと【踵】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「かがと」とも )
  2. 足の裏の後部。踵骨(しょうこつ)と、それをおおう厚い丈夫な皮膚がある。くびす。きびす。
    1. [初出の実例]「踵 カカト」(出典:書言字考節用集(1717)五)
    2. 「そんなものはござらねへがうらがかかとの皮じゃアどうだんべイ」(出典:西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉六)
  3. ( かかとのように厚いの意から ) 面(つら)の皮が厚いこと。ずうずうしいこと。あつかましいこと。
    1. [初出の実例]「イヤ、余っ程皮の厚い飛んだ踵(カカト)だ」(出典:歌舞伎・四天王産湯玉川(1818)五立)
  4. 履物の裏の後部。また、履物の後部。ヒール。
    1. [初出の実例]「主人に乗り沓めさすべき事〈略〉其後右の手にては、沓のかかとをおさへべし」(出典:今川大双紙(15C前)馬に付て式法之事)

踵の語誌

カカトは近世に入って東国系の語として文献に登場する。関西ではキビス。


きびす【踵】

  1. 〘 名詞 〙
  2. かかと。くびす。きひひす。
    1. [初出の実例]「足跟(キヒス)広く具足して満ち」(出典:大智度論天安二年点(858))
    2. 「かかる者はおとがいをきられ、にぐる者はきびすをきらるるものもあり」(出典:虎明本狂言・丼礑(室町末‐近世初))
  3. はきもので、かかとが当たる部分。
    1. [初出の実例]「ひきとどめんとて、手をさしやりたりけるに、〈略〉片足すこしさがりたりけるきびすを、沓加へながらとらへたりければ」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)二)

踵の語誌

上代のクヒビス(ないしクビヒス)がクビスやキヒヒスなどの形を経てキビスに変化した。中古以降クビスと並んで用いられるが、クビスが規範的な形、キビスが日常的な形であったらしい。→くびひす


くびす【踵】

  1. 〘 名詞 〙 足の裏の後部の地につく部分。かかと。きびす。くびひす。
    1. [初出の実例]「弟江沼臣族堅牛 年参拾陸 正丁 右足久比須疵」(出典:正倉院文書‐天平一二年(740)越前国江沼郡山背郷計帳)
    2. 「御前の舞人は雞婁(けいろう)をうって舞行のくびすをそばたつ」(出典:曾我物語(南北朝頃)四)

くびひす【踵】

  1. 〘 名詞 〙くびす(踵)
    1. [初出の実例]「其れ膝(ひさ)有りて膕踵(久比婢須)無し」(出典:日本書紀(720)仁徳六五年(前田本訓))

踵の語誌

→「きびす」の語誌


あくと【踵】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「あぐと」とも ) かかと。くびす。あくつ。
    1. [初出の実例]「馬の足のあくと如何、答あしくほとろあしくほたるの反歟」(出典:名語記(1275)八)

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普及版 字通 「踵」の読み・字形・画数・意味


16画

(異体字)
12画

[字音] ショウ
[字訓] おう・つける・かかと

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は重(じゆう)。重に衝・(しよう)の声がある。〔説文〕二下に「ふなり」とあり、追蹤することをいう。重に続の意があり、踵はつぐ、ふむなどの意をもつ。

[訓義]
1. おう、つける。
2. つぐ、あとにつぐ。
3. ふむ、よる、たずねる、いたる。
4. かかと、くびす。

[古辞書の訓]
名義抄〕踵 クビス・キビス・ユク・イタル・ツグ・アト

[語系]
踵()tjiongは蹤tziong、從(従)dziongと同系の語。あとにつき従う意がある。

[熟語]
踵軍踵係・踵踵決・踵見踵踵踵接・踵息・踵武・踵門踵累
[下接語]
運踵・曳踵還踵・企踵・跂踵・箕踵・挙踵係踵継踵踵・跟踵随踵・躋踵・接踵・旋踵・前踵・排踵・反踵・放踵・摩踵・連踵

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「踵」の意味・わかりやすい解説

踵 (かかと)
heel

〈くびす〉〈きびす〉ともいう。足の裏の後部のことであるが,その境界ははっきりしてはいない。直立すると,体重はほとんどこの部分にかかる。内部には踵骨(しようこつ)があり,その表面は厚いじょうぶな皮膚でおおわれている。この皮膚は皮下脂肪層がとくに厚くて,緩衝用のクッションをなしている。表皮も全身のうちで最も厚い。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【足∥肢】より

…ときに大腿の下半前面をもひざという。 解剖学的意味での足は,かかとheel(踵(しよう)部),足背dorsum of the foot(足の甲),足底sole(足の裏),5本の指が区別される。また後述する足根骨ossa tarsiで支えられる部分を足根,中足骨で支えられる部分を中足という。…

【足∥肢】より

…ときに大腿の下半前面をもひざという。 解剖学的意味での足は,かかとheel(踵(しよう)部),足背dorsum of the foot(足の甲),足底sole(足の裏),5本の指が区別される。また後述する足根骨ossa tarsiで支えられる部分を足根,中足骨で支えられる部分を中足という。…

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