出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
C型肝炎ウイルス(HCV)が発見されたのは、1989年のことです。
HCVに冒された肝細胞は、免疫機能によって破壊されては再生しています。この修復の過程で、肝臓では10~30年以上かけて線維化(皮膚の傷跡のように、元どおりに再生せず硬くなってしまうこと)が進み、次第に肝臓は「
肝線維化の程度を表す指標にはF分類があり、おおむね年間発がん率はF1(軽度)で0.5%未満、F2(中度)で1.5%、F3(高度)で5%、F4(肝硬変)で8%と線維化が進むほど発がん率が上がることがわかってきました(図1)。
また、HCVの感染により、肝臓以外の臓器も冒されることがまれにあります。HCV感染はクリオグロブリン血症による腎炎、HCV腎炎、心筋症、リンパ腫、シェーグレン症候群(ドライアイ、ドライマウス)、
HCV感染のほとんどは血液を介したものです。輸血や手術などで使われた血液製剤によって感染したと思われる場合が多く、ほかに注射針を介しての感染が考えられます。
いずれもHCVの存在がわからなかった時代のことで、今は検査法も確立されているのでこうした感染はまず心配ありません。ただ現在でも
自分がC型肝炎ウイルスに感染していることに気づいていない人は、まだまだたくさんいます。40歳以上で過去に輸血や手術を受けたことのある人、若い人で刺青などで他人と器具を共有したことのある人で、C型肝炎ウイルス検査を受けたことのない人は、一度調べてみてください。検査は保健所でも可能ですし、検査費補助のある自治体もあります。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
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