翻訳|alkylation
一般には有機化合物に,置換反応あるいは付加反応によってアルキル基を導入する反応をいう。置換反応には水素原子の求核反応と求電子反応があり,付加反応にはカルボニル化合物のグリニャール反応をはじめとして,一般に有機金属化合物のカルボニル基やC=C二重結合への付加などがある。そのほか金属水素化物のオレフィンへの付加反応もある。また石油精製工業では,高オクタン価のイソパラフィンであるアルキレート(たとえばイソオクタン)を得るプロセス(付加反応)をいう。アルキル化反応に用いられる試薬(アルキル化剤)には,ハロゲン化アルキル,オレフィン,アルコール,ジメチル硫酸,ジアゾメタンなどがある。アルキル化反応の例を以下に示す。
(1)炭素原子のアルキル化。フリーデル=クラフツ反応が著名で,無水塩化アルミニウムが触媒となる。たとえば,
(2)酸素原子のアルキル化。エーテル結合の生成が起こる。たとえば,
(3)窒素原子のアルキル化。たとえば,
(4)イソオクタンの製造。
執筆者:冨永 博夫+友田 修司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
置換反応または付加反応によって有機化合物にアルキル基を導入する反応.便宜上,新しく生成する結合の種類によって,次のように分類される.
(1)炭素原子のアルキル化:ハロゲン化アルキルやアルケンを用いるフリーデル-クラフツ反応,アルキルアルカリ(たとえば,メチルリチウム)とハロゲン化アルキルとの反応などがある.
(2)酸素原子のアルキル化:アルコールに水酸化アルカリとともにハロゲン化アルキル,硫酸ジアルキルなどを作用させると混合エーテルが得られる.
(3)窒素原子のアルキル化:ハロゲン化アルキル,硫酸ジアルキルなどはアンモニアやアミン類と反応してアミノ水素をアルキル基で置換する.
(4)その他:金属やケイ素,硫黄など,いろいろな原子のアルキル化反応が知られている.また,強力なアルキル化剤として,トリメチルオキソニウムテトラフルオロボレート(メチル化剤)などが使われる.
工業的には,アルケンによる芳香族およびアルカンの酸触媒存在下のアルキル化がある.化学工業原料の製造のための芳香族のアルキル化には,ゼオライトなどの固体酸触媒が用いられる.また,アルキル化剤としては,アルコールやハロゲン化アルキルも利用できる.合成燃料(高オクタン価ガソリン)の製造のためのアルカンのアルキル化には,硫酸あるいはフッ化水素が触媒として用いられているが,固体酸への転換が進められている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…1877年,フランスのフリーデルCharles Friedel(1832‐99)とアメリカのクラフツJames Mason Crafts(1839‐1917)の2人の共同研究で発見された。アルキル化とアシル化の2種の反応が知られているが,いずれも触媒として塩化アルミニウムAlCl3のような強いルイス酸を必要とする。(a)アルキル化 ベンゼンなどの活性化されたベンゼン核を有する芳香族炭化水素は塩化アルミニウムの存在下でハロゲン化アルキルと反応して,アルキルベンゼンを与える(式(1))。…
※「アルキル化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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