ゲーリンクス(英語表記)Arnold Geulincx

デジタル大辞泉 「ゲーリンクス」の意味・読み・例文・類語

ゲーリンクス(Arnold Geulincx)

[1624~1669]オランダ哲学者デカルト哲学を批判的に継承機会原因論を説く。著「倫理学」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「ゲーリンクス」の意味・わかりやすい解説

ゲーリンクス
Arnold Geulincx
生没年:1624-69

デカルト学派の哲学者。ベルギーアントワープに生まれ,ルーバン大学に学んで,のち同大学の教授,ついでオランダのライデン大学教授となり同地で没した。代表的な機会原因論者の一人。デカルトは精神物体とを独立する実体として分離しながら,人間においては心身結合をみとめたが,ゲーリンクスは両者の直接的相互作用否定し,身体の刺激によって精神に感覚が生じたり,精神が意志によって身体を動かす場合も,真の作用者は神のみであって,神が身体の刺激または精神の意志を〈道具〉ないしは〈機会〉として感覚または身体の運動を生ぜしめるとした。彼はまた倫理学を重視して主著《倫理学》(1675)を書いたが,そこでも神が唯一の能動者であるこの世界において,人間は単なる〈傍観者〉にすぎないことが強調され,そのような人間が自己の無力を自覚して神の摂理に従う〈謙虚〉の徳が称揚されるとともに,自愛にもとづく幸福欲が厳しく退けられている。ほかに《真の形而上学》(1691)などの著書がある。
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百科事典マイペディア 「ゲーリンクス」の意味・わかりやすい解説

ゲーリンクス

オランダの哲学者。デカルトの精神と身体との直接の相互作用説を否定,神を唯一の作用者とし,心身をその作用の機会原因と考える機会原因論代表者。著書《倫理学》(1675年),《真の形而上学》(1691年)。

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