ワシントン・コンセンサス(読み)わしんとんこんせんさす(英語表記)Washington Consensus

知恵蔵 の解説

ワシントン・コンセンサス

新古典派経済学の理論共通基盤として、米政府やIMF、世界銀行などの国際機関が発展途上国へ勧告する政策総称。構造調整政策もその1つである。米財務省や上記の国際機関、さらに著名なシンクタンクが米国の首都にあることから名付けられた。市場原理を重視するところに特徴がある。貿易、投資の自由化、公的部門の民営化、政府介入を極小化すること、通貨危機に対しては財政緊縮、金融引き締めを提言する。クリントン政権のルービンなど米国政府の財務長官に金融界出身者が多いことから、米系金融機関の利益を図る路線になりやすいともいわれる。アジア通貨危機では、各国緊縮政策などを求めたIMFの勧告がかえって社会的混乱を助長したとの批判が強まった。

(石見徹 東京大学教授 / 2007年)

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