神経遮断薬により自律神経を遮断して体温を冷却させる低体温法。生体は手術,外傷,ショックなどの侵襲に対して,侵襲そのものによる障害のほかに防衛反応を呈する。この反応が過剰に起こると生命が危険にさらされる。この生体の過剰反応に対してラボリH.Laborit(1951)らは神経遮断薬を投与することを提唱した。この方法によって冷却による生体反応を抑え,円滑に体温を冷却する低体温麻酔法をラボリらは人工冬眠とよんだ。神経遮断薬として彼らはクロルプロマジン,プロメサジンおよびメペリジンの混合した液を用いた。彼らはこの混合液をlytic cocktailと名づけ,術前から分割投与した。このカクテルを投与すると,温熱中枢の働きは麻痺し,末梢血管は拡張し,体温調節は容易となる。人工冬眠は変温動物の冬眠状態とは本質的には異なるものである。また,この方法が今日の低体温麻酔法の主流ではない。
→麻酔
執筆者:田中 亮
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