人文科学(読み)ジンブンカガク(その他表記)cultural sciences
humanities

デジタル大辞泉 「人文科学」の意味・読み・例文・類語

じんぶん‐かがく〔‐クワガク〕【人文科学】

政治経済社会歴史文芸言語など、人類の文化全般に関する学問総称狭義には、自然科学社会科学に対して、歴史・哲学・言語などに関する学問をいう。文化科学。じんもんかがく。

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精選版 日本国語大辞典 「人文科学」の意味・読み・例文・類語

じんぶん‐かがく‥クヮガク【人文科学】

  1. 〘 名詞 〙 人間の歴史と文化に関する学問の総称。科学を二大別した場合の、自然科学に対する一方分野をいう。政治、経済、社会、歴史、文芸、言語などを含む。狭義には、社会科学に対する文化科学の意。歴史、文芸、言語など。じんもんかがく。
    1. [初出の実例]「修養部の課程は、精神講座、数学、自然科学、人文科学、日本文学、外国語、外国文学等に大別します」(出典:人間礼拝(1921)〈与謝野晶子〉文化学院の設立に就て)

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改訂新版 世界大百科事典 「人文科学」の意味・わかりやすい解説

人文科学 (じんぶんかがく)
cultural sciences
humanities

学問分類上の一名称古典文学や哲学の研究を〈人文学humanities〉と呼ぶのは,ルネサンス期の古典研究と〈人間性研究humaniora〉の系譜をひく。日本で人文科学と呼ばれているのは,文学部教育学部などの学科中,自然科学社会科学とに属しないもの,すなわち広義の哲学,文学史学の総称であり,実質的には文化科学から社会科学の大部分を除いた部分の総括である。人文科学は広義の文学,人文学と等義であり,人間の文化を創造する真の人間性と,人間を客体化し対象化する科学・技術をもその契機とする真に人間的な事柄とに関する,基礎的諸学と解すべきであろう。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「人文科学」の意味・わかりやすい解説

人文科学
じんぶんかがく

人間の文化に関する学問。「じんもんかがく」ともいい、自然現象を対象とする自然科学、人間社会の現象を解明する社会科学に対する学問分野で、哲学、歴史学、文学、言語学などの学問をいう。また科学を大きく二つに分類したとき、人類の文化に関するすべての分野をさし、人間社会の諸現象を支配する法則を考究する学問を総称し、自然科学が自然現象の解明とそれらを人間の実生活へ応用する学問を総称するのに対する。したがってこの場合には、社会科学の分野の諸学問をも包括し、社会学、経済学、政治学、法学、教育学などから哲学、文学、芸術学、歴史学などの広い分野にわたる学問をいう。

[宇田敏彦]

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百科事典マイペディア 「人文科学」の意味・わかりやすい解説

人文科学【じんぶんかがく】

自然科学に対し,文化科学・精神科学などに近い意味でも用いられる。一般に人間の事象に関する諸学問を総括していう名称(この場合はルネサンス期の人文学=フマニタス研究の系譜が含意される)で,狭義には,非自然科学諸学の中で,社会科学を除いた,哲学・史学・文学をさし,現行大学制度の教科で人文科学と呼ばれるものに当たる。

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世界大百科事典(旧版)内の人文科学の言及

【科学】より

人文科学という概念はさらにあいまいで,こういう言葉が成立した背景には,〈科学〉というものをプラスに評価したうえで,その評価を借用しようとする意図さえ感じられる。たとえば人文科学を表す英語はhumanitiesであって,scienceの語は含まれていない。したがってこれらは,科学(自然科学)の概念の確立に伴って,学問分類の便宜上現れた概念といえる。…

【科学】より

…科学とは今日通常は自然科学を指す。人文科学,社会科学という呼び方もある。元来は英語(もしくはフランス語)のscienceの訳語として19世紀末に日本で造られた単語であり,その後中国にも輸入された。…

【人間科学】より

…人間にかかわる諸事象を探求する諸科学の総称。人文科学とほぼ同義で用いられることもあるが,とくに1960年代以降,言語学,人類学,精神医学,精神分析,心理学,社会学をはじめ,脳神経生理学や動物行動学などを含む人間の諸活動の科学的探求が,旧来の人間理解を根底的に揺るがすほどに発達したのにともない,人文科学に代わってこの語が用いられるようになった。 人間的諸事象の探求は,もちろん古くから行われたが,西欧近世になって自然科学が発展するとともに,とくに18世紀のイギリスやフランスで,自然科学の方法を人間的諸事象にも適用して探求することが試みられるようになった。…

※「人文科学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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