前田夕暮(読み)マエダユウグレ

デジタル大辞泉 「前田夕暮」の意味・読み・例文・類語

まえだ‐ゆうぐれ〔まへだゆふぐれ〕【前田夕暮】

[1883~1951]歌人神奈川の生まれ。本名、洋造。尾上柴舟おのえさいしゅう師事。「詩歌」を創刊して、明星派対抗自然主義短歌といわれる牧水・夕暮時代を現出した。のち、自由律短歌を提唱歌集収穫」「生くる日に」「原生林」など。

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精選版 日本国語大辞典 「前田夕暮」の意味・読み・例文・類語

まえだ‐ゆうぐれ【前田夕暮】

  1. 歌人。神奈川県出身。本名洋造。尾上柴舟に師事。柴舟を中心に、若山牧水・三木露風らと車前草社を、翌年みずから白日社を創設。「向日葵(ひぐるま)」創刊。「創作」同人となり自然主義に与(くみ)し「明星」「スバル」の浪漫主義と対抗。のち白日社から「詩歌」を創刊し、牧水夕暮時代をつくる。晩年近代主義を唱え自由律短歌に転じた。歌集「収穫」「生くる日に」など。明治一六~昭和二六年(一八八三‐一九五一

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20世紀日本人名事典 「前田夕暮」の解説

前田 夕暮
マエダ ユウグレ

明治〜昭和期の歌人



生年
明治16(1883)年7月27日

没年
昭和26(1951)年4月20日

出生地
神奈川県大住郡大根村南矢口(現・中郡)

本名
前田 洋造

学歴〔年〕
中郡中中退

経歴
中学を中退した頃から文学に傾倒し、明治37年上京、尾上紫舟に師事して車前草結成に参加。39年には白日社を創立し、41年パンフレット「哀楽」を刊行。「文章世界」「秀才文壇」などの編集をしながら、43年「収穫」を刊行、自然主義歌人として脚光をあびる。44年には「詩歌」を創刊し、大正元年には「陰影」を刊行。8年から山林業についたが、13年「日光」創立に参加し、14年「原生林」を刊行。以後自由律短歌運動に挺身した。ほかの歌集に「生くる日に」「水源地帯」「耕土」「夕暮遺歌集」などがあり、「前田夕暮全歌集」(至文堂)「前田夕暮全集」(全5巻 角川書店)が刊行されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「前田夕暮」の意味・わかりやすい解説

前田夕暮
まえだゆうぐれ
(1883―1951)

歌人。神奈川県大住(おおすみ)郡南矢名(みなみやな)村(現秦野(はだの)市)に生まれる。本名洋造。21歳のとき尾上柴舟(おのえさいしゅう)の門をたたき、25歳で自ら短歌結社「白日社」をおこし『向日葵(ひぐるま)』を発刊。さらに29歳のとき創刊した『詩歌(しいか)』(1911)を断続しながら没年まで主宰し、多くの門流を輩出させた。第一歌集『収穫』(1910)は同年刊行の若山牧水(ぼくすい)の歌集『別離』とともに一時代を画し、太田水穂(みずほ)に「比翼詩人」と称された。集中の「木に花咲き君わが妻とならむ日の4月なかなか遠くもあるかな」はいまも人口に膾炙(かいしゃ)する近代の代表歌である。ほかに『陰影』(1912)など15歌集と多くの随筆集があり、1932年(昭和7)の『水源地帯』は自由律短歌の主導的役割を果たした。

[石本隆一]

『『前田夕暮全集』全5巻(1972~73・角川書店)』『『日本の詩歌7 太田水穂・前田夕暮他』(中公文庫)』『前田透著『評伝前田夕暮』(1979・桜楓社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「前田夕暮」の意味・わかりやすい解説

前田夕暮 (まえだゆうぐれ)
生没年:1883-1951(明治16-昭和26)

歌人。神奈川県生れ。本名洋造。父久治は秦野市(当時,大住郡大根村)の自由民権家。1904年上京,尾上柴舟の門に入り若山牧水らと車前草(しやぜんそう)社を結び,のち06年白日(はくじつ)社を創立。処女歌集《収穫》(1910)により自然主義の歌人として牧水と併称された。11年,白日社から《詩歌》を創刊して,萩原朔太郎らに発表の場を与え,多くの詩人,歌人を育成した。《生くる日に》(1914)で外光派的歌風に転じ,《水源地帯》(1932)では自由律短歌を唱導,晩年,定型に復した。《前田夕暮全集》5巻(1972-73)がある。〈木に花咲き君我が妻とならむ日の四月なかなか遠くもあるかな〉(《収穫》)。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「前田夕暮」の意味・わかりやすい解説

前田夕暮
まえだゆうぐれ

[生]1883.7.27. 神奈川,大根
[没]1951.4.20. 東京
歌人。本名,洋造。中郡中学校中退後,上京 (1904) して尾上柴舟の門に入り,その主宰する車前草社に属したが,まもなく独立し (06) ,『明星』派歌風に対立する雑誌『向日葵 (ひぐるま) 』やパンフレット歌集『哀楽』 (06,07) で歌壇に進出。歌集『収穫』 (10) ,雑誌『詩歌』創刊 (11) によって若山牧水とともに自然主義の二大歌人と目されるにいたった。平面描写風な客観的手法に特色を示す『陰影』 (12) を経て,色彩感覚の強烈な歌風の『生くる日』 (14) に移行し,さらに北原白秋らと歌誌『日光』を創刊 (24) して自由明快な歌風を広め,口語自由律短歌運動から新興短歌運動への道を開いた。

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百科事典マイペディア 「前田夕暮」の意味・わかりやすい解説

前田夕暮【まえだゆうぐれ】

歌人。本名洋造。神奈川県生れ。尾上柴舟を中心に創設された車前草社(しゃぜんそうしゃ)に参加,歌集《収穫》を出して《別離》の若山牧水と併称された。白日社を結び,歌誌《向日葵》や《詩歌》を創刊主宰。《詩歌》では萩原朔太郎らが詩を発表している。一時自由律短歌を作ったが再び定型に復帰した。歌集《生くる日に》《水源地帯》《青樫は歌ふ》のほか,随筆集《緑草心理》などがある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「前田夕暮」の解説

前田夕暮 まえだ-ゆうぐれ

1883-1951 明治-昭和時代の歌人。
明治16年7月27日生まれ。尾上柴舟(おのえ-さいしゅう)にまなぶ。明治39年白日社を創立。44年「詩歌」を創刊。若山牧水とともに自然主義歌人として知られ,一時,自由律短歌を提唱した。昭和26年4月20日死去。67歳。神奈川県出身。本名は洋造。歌集に「収穫」「陰影」,随筆集に「緑草心理」など。
【格言など】孤独の寂しさが人間の心を静かに燃やしてくれる

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367日誕生日大事典 「前田夕暮」の解説

前田 夕暮 (まえだ ゆうぐれ)

生年月日:1883年7月27日
明治時代-昭和時代の歌人
1951年没

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