きゅうしゅうけいすう
吸収係数
absorption coefficient
波が物質中を透過するとき,その強度を減衰する割合。強度I0の波が厚さdの物質を透過したときの強度I=I0e-μdで表され,μが吸収係数。X線の場合には波長と物質(単位体積中の原子の種類と数)により決まり,結晶学的方位に関係のない定数で,特に線吸収係数という。線吸収係数は物質の性質によらない量である質量吸収係数μm・原子吸収係数μaとの間にμ=ρΣPμm=Σμa/Vの関係がある。ただし,ρは密度,Pは全体に対するその元素の重量比,Vは単位格子の体積。なお第一式では全原子種についての和を,第二式では単位体積中の全原子についての和をとる。この関係式からμを求めることができる。地震波の吸収係数の定義は一定していないが,上の定義がふつう使われている。地震波に対するQとμの間にはQ=π/μcTの関係がある。ここで,cは位相速度,Tは周期。光の場合には波長と物質のほか,結晶学的方位によっても異なり,光学的弾性軸とごくわずか異なる方位に吸収係数最大・最小の方向があり,吸収軸という。
執筆者:丸茂 文幸・金森 博雄
参照項目:Q
参照項目:吸収軸
参照項目:吸収端
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
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吸収係数
きゅうしゅうけいすう
光および放射線や粒子線などの物質中での吸収に関する減衰定数のこと。たとえば強度I0の光が一様な物質中を距離xだけ進むと、その強さIはxの指数関数I=I0e-αxで表される関係が成り立つ。これをランバートの法則という。対数を用いて書き直せばlog(I0/I)=αxとなり、入射光と透過光の強度比の対数が吸収層の厚さに比例することがわかる。この比例定数αが吸収係数であるが、光の気体または液体による吸収については吸光係数ともいう。吸収係数および関連用語はいろいろあって、その定義もまちまちであるので注意を要する(消衰係数、質量吸収係数、線質量係数、吸光度など)。一般にαには、散乱などによるエネルギー吸収を伴わない散乱係数(混濁度)と、エネルギー吸収による真吸収係数とが含まれ、αはその和となり全吸収係数とよばれる。このような関係は他の放射線や粒子線に対しても成り立つ。放射線などの場合には原子1個当りの断面積という概念を導入して吸収係数が定義される。
[中島篤之助]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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吸収係数
キュウシュウケイスウ
absorption coefficient
厚さlの一様な物質層を通った光,あるいは放射線の強さIが入射強さ I0 に対して,
loge(I/I0) = -μl
で与えられるとき,μを吸収係数という.化学の分野では光の場合,
log10(I/I0) = -al
としたときのaは吸光係数,alは光学密度とよばれる.溶液や気体については,aはc(濃度または密度)に対して,とくに高濃度でない範囲では比例し,cを mol L-1 で表した場合の比例定数εをモル吸光係数という.[別用語参照]モル吸収係数
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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吸収係数
きゅうしゅうけいすう
absorption coefficient
物質による放射線の吸収の度合いを表わす数。物質中のある場所で,単位長さあたりの減少量がその点の強度に比例するとき,その比例係数をいう。吸収係数 k が場所に依存しない定数のときには,初めの強度 I0 は距離 x だけ進むと,I=I0 exp (-kx) となる。一般に吸収係数は吸収の機構によって異なるいくつかの成分から成り立っていて,k=k1+k2+… と表わされる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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吸収係数
吸光係数ともいう.入射光の強度をI0,透過光の強度をIとし,吸収層の厚さをlcmとしたとき,ランベルト-ベールの法則ではI=I0e−mlの関係があるが,mを吸収係数という.
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
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吸収係数【absorption coefficient】
単位体積の液体に吸収される気体の体積を標準状態(273K,1気圧)に換算して比をとった値.ヘンリーの法則*も参照.
吸収係数【absorption coefficient(X-ray)】
X線が物質を通過するときに散乱を受けたり,他のエネルギーに変換されるために強度の減衰する割合をいう.
出典 朝倉書店法則の辞典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の吸収係数の言及
【吸収】より
…代表例としての光の吸収は,光が媒質中を通過するとき,その単色光成分のエネルギーが媒質にとらえられたり,散乱などで失われる現象を指している。媒質中における吸収の減衰定数に吸収係数がある。光については,入射光の強度をI0として,光が媒質中を距離x進行したときの光の強度Iは,I=I0exp(-αx)で表され(ランバートの法則Lambert’s law),定数αを吸収係数と呼んでいる。…
【光吸収】より
…媒質の微小部分dx(ただしdxは光の進行方向の距離とする)で吸収される光のエネルギーdEは,dxに比例し,かつ入射光のエネルギーEに比例するから, dE=-kEdxと表せる。ここでkが吸収係数と呼ばれるもので,媒質が光を吸収する度合を表す定数である。上式を積分し,x=0における入射光のエネルギーをE0とすれば,log(E0/E)=kd,またはE=E0exp(-kx)の関係が得られる。…
※「吸収係数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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