地球潮汐(読み)チキュウチョウセキ(その他表記)earth tides

精選版 日本国語大辞典 「地球潮汐」の意味・読み・例文・類語

ちきゅう‐ちょうせきチキウテウセキ【地球潮汐】

  1. 〘 名詞 〙 月、太陽などの引力によって地球が周期的に変形する現象。

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最新 地学事典 「地球潮汐」の解説

ちきゅうちょうせき
地球潮汐

earth tide

太陽と月の引力による地球の変形。地球を変形させる力を起潮力(tide generating force)といい,起潮力ポテンシャルUから導くことができる。U天体暦を利用して理論的に計算できる。剛性率無限大のときの地球の重力ポテンシャルWが,地球が弾性変形してΔWだけ変わったとし,また,この変形のため地球上の1点がuだけ変位し,ポテンシャルはを重力としてuだけ変わったとする。ΔWkU, uhUと置くと,弾性変形後の全体のポテンシャルRは,RWU(1+kh)である。そして鉛直線の方向の変化は,RWUの場合に比べて(1+kh)倍になる。k, hは地球内の密度・剛性率に関係した量であり,ラブ数(Love’s number)という。(1+kh)を減少係数(diminishing factor)といい,Dと書く。また重力の変化は弾性変形しない場合の(1-3k/2+h)倍となり,この(1-3k/2+h)を増大係数(magnification factor)または重力の潮汐係数(tidal factor of gravity),あるいは重力係数(gravimetric-factor)などといい,Gと書く。減少係数Dは水平振子型傾斜計,水管傾斜計などの観測結果を理論値と比較して求める。D=0.6~0.8程度。増大係数G重力計による観測結果を用い理論値と比較して求める。G=1.10~1.20程度。さらに緯度変化にも地球潮汐の影響が現れ,緯度変化係数(latitude variation factor)L=1+klが求まる。ここにlは志田数(Shida’s number)という。lは土地の伸縮を伸縮計によって観測して求められる。1950年,竹内均はK.E.Bullenの地球内部構造モデルを用いてhkの理論値を計算し,実測とよく一致することを示した。国際地球観測年間にはアスカニア重力計による地球潮汐観測が世界各地で実施され,各分潮ごとのGの決定がコンピューターによって行われるようになった。今日の地球潮汐研究の課題は,DGの観測値に地域性があるかないかを確かめることである。この場合,通常の海水の干満である海洋潮汐の影響を除去することが厄介な問題である。地球潮汐によって起こる地殻の変形を地殻潮汐ということがあるが現在はあまり使われない。参考文献P.Melichior(1966) The Earth Tide. Pergamon Press

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改訂新版 世界大百科事典 「地球潮汐」の意味・わかりやすい解説

地球潮汐 (ちきゅうちょうせき)
earth tides

海水に月や太陽の引力が作用し,その起潮力によって海面が昇降する現象は,海洋潮汐あるいは単に潮汐として人々によく知られている。起潮力は海水だけでなく地球の固体部分にも同様に作用するので,それによってわずかではあるが地球自体も変形を繰り返している。この現象が地球潮汐である。変形に伴って地殻が伸縮し,重力値が変化し,鉛直線の向きが変わるなど,さまざまな変化現象が生じる。一般にはこれらの周期的変化現象のことをすべて地球潮汐といっている。

 地球潮汐の大きさは時刻,場所によって異なるが,最大の場合でも,地表の昇降はせいぜい数十cm,重力値の振幅は0.002mm/s2内外,鉛直線の向きの変化は0.04秒程度,地殻の伸縮も10⁻7の桁という微小なものである。これらの小さな変化を検出するには,高精度の測定器を静かな環境に置いて測定しなければならず,高度の技術を必要とする。通常,地球潮汐の観測は,地下の観測坑内に設置した伸縮計や傾斜計,振動の少ない場所に置いた重力計などによって行われることが多い。月や太陽の起潮力はさまざまな周期成分を含むので,それにしたがって生じる地球潮汐もたくさんの周期成分に分けられ,それぞれの成分を分潮という。主要な分潮には,月によるM2潮(周期が12時間52分),O1潮(25時間49分),月と太陽の両方によるK1潮(23時間56分),太陽によるS2潮(12時間)などがあり,そのほか長周期のもの,振幅の小さいものなど非常に多くの分潮がある。

 地球潮汐の観測は,地球の弾性的および粘性的性質を知るうえで重要な地球物理学的意味をもち,現在は世界各地でその観測が実施されている。日本では理論的研究も観測も盛んである。現実に観測されるデータには海洋潮汐の影響が重なっているため,最近の研究は,海洋潮汐の影響を除去すること,また地球潮汐に見いだされる地域差を説明することなどに主眼が置かれている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「地球潮汐」の意味・わかりやすい解説

地球潮汐
ちきゅうちょうせき

天体引力によっておこる地球の変化現象。月や太陽の引力により周期的に海面が上下する海の潮汐現象はよく知られている。これらの引力は地球の固体部分にも同様に作用して、地球の変形、鉛直線の方向変化、重力値の変化などのさまざまな周期的変化を引き起こしている。このように、月、太陽の引力によって地球の固体部分に生じる変化現象のことを総称して地球潮汐という。地球潮汐は数多くの周期成分を含んでいるが、主要なものに、月によるM2潮(周期12時間25分)、O1潮(25時間49分)、月、太陽両方によるK1潮(23時間56分)、太陽によるS2潮(12時間)などがある。

 地球潮汐の大きさは場所によって異なるが、たとえば、変形による地表の上下は最大でも50センチメートル内外、鉛直線の方向変化は0.04秒程度、重力値の変化は0.002ミリメートル毎秒毎秒といった量で、いずれも本来の大きさの1000万分の1の桁(けた)の、ごくわずかな大きさのものである。そのため、これらの変化は、きわめて精密な測定器を、擾乱(じょうらん)の小さい場所に置かない限り測定できない。通常は、地下の観測坑に設置した高感度の伸縮計、傾斜計、振動の少ない場所に置いた重力計などで地球潮汐の観測が行われる。

 地球潮汐を観測し、地球の変形のようすを知ることは、地球の弾性的性質を知るために非常に重要なことで、この種の観測は日本を含めた世界各地で実施されている。

[長沢 工]

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百科事典マイペディア 「地球潮汐」の意味・わかりやすい解説

地球潮汐【ちきゅうちょうせき】

月や太陽の起潮力は,海水面を隆起させ潮汐を起こす一方,固体の地球にも作用して周期的変形をひき起こす。後者を地球潮汐という。半径方向の変形量は,地球半径約6370kmに対し約30cm。この現象のため,地表上で重力の周期的変化,鉛直線の変化,土地の伸縮などが起こるので,これらの量を精密に観測し,地球内部の弾性的諸性質の研究に役立てる。
→関連項目潮汐

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地球潮汐」の意味・わかりやすい解説

地球潮汐
ちきゅうちょうせき
earth tide

月,太陽などほかの天体引力によって固体地球に引起される変形現象。重力にして 0.1mGal程度の変化を生じる。月の引力による地球の上下方向の変位の振幅は 20~30cmといわれる。地球潮汐の観測方法には,重力変化,地表面の傾斜や伸縮,緯度変化の測定などがある。潮汐力による固体地球の変位量 (歪量) に基づいて,地球の剛性率が算出されている。一方,地震のP波,S波の速度から,地球内部の各深さの弾性率が計算されている。前者の地球潮汐力に基づくものと地震波による剛性率が独立に計算されて,しかも一致することが認められる。

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