翻訳|gravimeter
重力を測定する器械をひろく重力計というが,これは1地点の重力値そのものを測定できる絶対重力計と,2地点間の重力差あるいは1地点の重力の時間変化を測定するいわゆる重力計とに分けられる。
絶対重力計は以前は可逆振子が使われたが,現在はもっぱら物体の自由落下運動が利用されている。可逆振子は,剛体振子を1点Aで支持・振動させたときの周期と,これを上下転倒して他の点Bで支持したときの周期とを等しくできれば,その周期TはABの間隔lと長さの等しい単振子の周期に等しいという事実を利用するもので,g=4π2l/T2で重力値が求まる。自由落下型は自由落下の落下時間tと落下距離sの間になりたつs=1/2gt2+v0t+s0の関係から重力値gを求める。落下時間は原子周波数標準により計測され,落下距離の測定には光波干渉が利用される。その際,レーザー光の波長が測定の基準に使われる。測定精度は0.01mGalの程度でかなり高精度の測定が行える。
いわゆる重力計として,当初は振子が使われた。2地点における同一振子の振動周期を比較することにより,振子の長さを知らなくともgATA2=gBTB2の関係から重力差を知ることができる。重力(おもりの重量)による張力をかけられて振動する弦の振動数から重力値を測定する型の重力計もあり,弦重力計という。おもに海洋の重力測定に使用される。材料科学の進歩により特性の優れた弾性材料が開発されるようになったため,重力計といえば重力を弾性力とつりあわせて平衡位置を読みとる一種の精密ばねばかりのことをさすのが普通となった。ばねはエリンバー系の恒弾性金属か石英ガラスでつくられる。重量2~3kgの軽便な器械で,1地点の測定も5分足らずでできるが,きわめて高精度で1μGalの感度をもつ。これは3mmの高さの変化に対応する重力変化に相当する。最もひろく使われている重力計であるラコスト重力計を図に示す。
重力とつりあわせる力は弾性力でなくとも,重力とは独立で特性のはっきりした力であればよい。そのような力として,かつては気体の圧力を利用したこともあった。最近,超伝導による安定な電流による電磁力を対抗力として利用する超伝導重力計が開発され,長期の安定性と高感度性とを備えた重力計として注目されている。
執筆者:村田 一郎
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重力の加速度の大きさを測定する装置。地球上の物体にはいつでも下向きの力が作用し、物体は落ちようとしている。この力が重力である。しかし一般には、物体が真空中を落下するときの重力による加速度を単に重力といっている。重力の加速度は、地球表面ではほぼ9.8メートル毎秒毎秒であるが、場所によって多少その値が異なる。以前には振り子の周期から重力を求める振り子式重力計がよく使われたが、最近はばねの伸縮を利用したスプリング式重力計が多用され、さらに、おもりを下げた弦の振動数を測定する弦式重力計、真空中の物体の落下を直接に測定する絶対重力計なども開発されている。
[長沢 工]
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