重力計(読み)ジュウリョクケイ(その他表記)gravimeter

翻訳|gravimeter

デジタル大辞泉 「重力計」の意味・読み・例文・類語

じゅうりょく‐けい〔ヂユウリヨク‐〕【重力計】

重力加速度測定する装置

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精選版 日本国語大辞典 「重力計」の意味・読み・例文・類語

じゅうりょく‐けいヂュウリョク‥【重力計】

  1. 〘 名詞 〙 重力の加速度を測定する装置。おもりをつるしたばねの伸びで測定点の重力を重力基準点と比較測定するものが多い。

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改訂新版 世界大百科事典 「重力計」の意味・わかりやすい解説

重力計 (じゅうりょくけい)
gravimeter

重力を測定する器械をひろく重力計というが,これは1地点の重力値そのものを測定できる絶対重力計と,2地点間の重力差あるいは1地点の重力の時間変化を測定するいわゆる重力計とに分けられる。

 絶対重力計は以前は可逆振子が使われたが,現在はもっぱら物体の自由落下運動が利用されている。可逆振子は,剛体振子を1点Aで支持・振動させたときの周期と,これを上下転倒して他の点Bで支持したときの周期とを等しくできれば,その周期TABの間隔lと長さの等しい単振子の周期に等しいという事実を利用するもので,g=4π2l/T2で重力値が求まる。自由落下型は自由落下の落下時間tと落下距離sの間になりたつs=1/2gt2v0ts0の関係から重力値gを求める。落下時間は原子周波数標準により計測され,落下距離の測定には光波干渉が利用される。その際,レーザー光の波長が測定の基準に使われる。測定精度は0.01mGalの程度でかなり高精度の測定が行える。

 いわゆる重力計として,当初は振子が使われた。2地点における同一振子の振動周期を比較することにより,振子の長さを知らなくともgATA2=gBTB2の関係から重力差を知ることができる。重力(おもりの重量)による張力をかけられて振動する弦の振動数から重力値を測定する型の重力計もあり,弦重力計という。おもに海洋の重力測定に使用される。材料科学の進歩により特性の優れた弾性材料が開発されるようになったため,重力計といえば重力を弾性力とつりあわせて平衡位置を読みとる一種の精密ばねばかりのことをさすのが普通となった。ばねはエリンバー系の恒弾性金属か石英ガラスでつくられる。重量2~3kgの軽便な器械で,1地点の測定も5分足らずでできるが,きわめて高精度で1μGalの感度をもつ。これは3mmの高さの変化に対応する重力変化に相当する。最もひろく使われている重力計であるラコスト重力計を図に示す。

 重力とつりあわせる力は弾性力でなくとも,重力とは独立で特性のはっきりした力であればよい。そのような力として,かつては気体圧力を利用したこともあった。最近,超伝導による安定な電流による電磁力を対抗力として利用する超伝導重力計が開発され,長期の安定性と高感度性とを備えた重力計として注目されている。
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百科事典マイペディア 「重力計」の意味・わかりやすい解説

重力計【じゅうりょくけい】

重力を測定する機械。1地点の重力値そのものを測定する絶対重力計と,2地点間の重力差あるいは1地点の重力の時間変化を測定する重力計とに分けられ,一般に重力計といえば後者をさす。絶対測定法は振子を用いる方法と自由落下運動を利用する方法がある。長さlの単振子の周期Tは(式1)で与えられるから,lとTを測れば重力加速度gの値が計算できる。この関係を利用し,実際には単振子の代りに可逆振子(実体振子)を用いる。高さs(/0)から初速v(/0)で自由落下する物体の落下距離s,落下時間tの間にはs=1/2gt2+v(/0)t+s(/0)の関係がなりたつ。s,tを測定すればgが計算できる。tは原子周波数標準により計測され,sは光波干渉で測定される。その際レーザー光の波長が測定基準に使われ,0.01ミリガルの高精度の測定ができる。おもりをつけて張力をかけられた弦を振動させ,重力により張力が変化し,振動数が変化することから重力値を測定するものを弦重力計といい,海洋の重力測定に使用される。おもりをつるしたばねの伸縮により重力を比較測定する計器,つまり一種の精密ばねばかりがあり,単に重力計といえばこの計器を指す。石油の重力探査に多用され,重量2〜3kg,測定時間5分程度で,0.001ミリガルの感度をもつ。近年,超伝導による安定な電磁力と重力をつりあわせる超伝導重力計が開発され,長期の安定性と超高感度をもつ重力計として注目されている。
→関連項目重力

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「重力計」の意味・わかりやすい解説

重力計
じゅうりょくけい
gravimeter

重力を測定する器機の総称。重力計の原理としては,(1) 物体の自由落下の速度を測定するもの,(2) 振り子の周期を測定するもの,(3) ばねにつるされた物体によってばねの伸縮が変化するのを測定するもの,(4) 弦の振動周期が変化するのを測定するものなど,各種のものがある。広く使われている重力計は (3) の原理によるもので,地球の引力の強さを 10 -7 の精度で測定できるものも製作されている。現在では陸上,大洋,高空上でもこの種の器械を使って重力の測定が実施されている。重力計は地球内部の質量分布の異常を知るのに使われ,地下資源の探査にも有力な武器になっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「重力計」の意味・わかりやすい解説

重力計
じゅうりょくけい

重力の加速度の大きさを測定する装置。地球上の物体にはいつでも下向きの力が作用し、物体は落ちようとしている。この力が重力である。しかし一般には、物体が真空中を落下するときの重力による加速度を単に重力といっている。重力の加速度は、地球表面ではほぼ9.8メートル毎秒毎秒であるが、場所によって多少その値が異なる。以前には振り子の周期から重力を求める振り子式重力計がよく使われたが、最近はばねの伸縮を利用したスプリング式重力計が多用され、さらに、おもりを下げた弦の振動数を測定する弦式重力計、真空中の物体の落下を直接に測定する絶対重力計なども開発されている。

[長沢 工]

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