島田髷(読み)シマダマゲ

デジタル大辞泉 「島田髷」の意味・読み・例文・類語

しまだ‐まげ【島田×髷】

日本髪の代表的な髪形前髪たぼを突き出させて、まげを前後に長く大きく結ったもの。主に未婚女性が結う。花嫁文金高島田をはじめ、締付島田投げ島田など多くの種類がある。江戸初期、東海道島田宿の遊女の髪形から広まったという。しまだわげ。

しまだ‐わげ【島田×髷】

しまだまげ」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「島田髷」の意味・読み・例文・類語

しまだ‐まげ【島田髷】

  1. 〘 名詞 〙 日本髪の代表的な髪型の一つ。江戸初期、東海道島田宿の遊女の髪型からこの名が広まった。形態は、女性埴輪人物像にも見られるほど簡単なものであったが、後世、前髪・びん・たぼをとるようになり、複雑化した。今日では、芸者が多く結う。しめつけ島田・大島田・中島田・投島田・低島田・高島田など多くの種類がある。島田結び。しまだわげ。しまだ。
    1. 島田髷〈女用訓蒙図彙〉
      島田髷〈女用訓蒙図彙〉
    2. [初出の実例]「嶋田が淵とて丸池有。むかし執心ふかき女の人をうらみ身をなげしよりいひならはせり。此女姿を作り髪の結振目立てそれより世に嶌田曲(シマタマケ)といへり」(出典:一目玉鉾(1689)二)

しまだ‐わげ【島田髷】

  1. 〘 名詞 〙しまだまげ(島田髷)
    1. [初出の実例]「島田(シマダ)わげに結(ゆひ)かふる法なり」(出典:評判記色道大鏡(1678)三)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「島田髷」の意味・わかりやすい解説

島田髷
しまだまげ

若い女性の髪形の一種。江戸時代初期に覆面の禁止があってから、女性も素顔で歩くようになって、頭上に髷を置く風習が盛んとなり、兵庫髷勝山髷とともに、遊里を中心として広がった髪形である。島田髷の発生は、東海道島田宿(じゅく)の遊女たちが結い始めたのが、しだいに一般化したものである。しかし、島田髷の祖型はわが国の古墳時代の人物埴輪(はにわ)像のなかにみられる。島田髷は、髷が撥(ばち)の形をしているのが特色で、長い下げ髪を頭上にまとめるには、一度百会(ひゃくえ)に束ねて、その余りを後方から前に出し、毛先を中央に折り返して、全体を結び留めるという、もっとも自然的な方法である。この方法は、奈良・平安時代以降、下げ髪の普及によって中絶されたが、江戸時代に結髪の普及に伴って、前髪、鬢(びん)、髱(たぼ)をとってから、原始的な髷を設けることになり、島田髷の発生となった。元禄(げんろく)年間(1688~1704)になって流行し、最初は鬢を張り出さない〆付け島田、投げ島田などができたが、元文(げんぶん)年間(1736~41)男性に文金風という風俗がおこってから、島田髷の根を高くした文金高島田が行われ、ことに嫁入り前若い娘たちには乙女(おとめ)島田が流行した。現代でも和装の結婚式に島田髷が結われるのは、この髪形が嫁入り前の髪形のためである。

[遠藤 武]


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改訂新版 世界大百科事典 「島田髷」の意味・わかりやすい解説

島田髷 (しまだまげ)

日本髪の一種。未婚の女性が結う。江戸前期,男髷を基礎として案出され,語源は定説はないが,東海道島田宿の遊女が結いはじめたのに由来するという。初期の髷は大島田(おおしまだ)といわれ髷が太く素朴に結われているが,のち技巧が加えられ,根を高く髷を厚く結う高島田,根を低くし髷の中央をくぼませるつぶし島田,投げ島田などが親しまれている。このほか,江戸中期,後期を含めてその名称だけで30種類近くある。一般に髷の根が高い結い方を品格ありとして武家階級の女性に結われ,根の低い髷は粋筋に好まれた。現代の花嫁が用いる文金高島田は,武家風の流れを汲むものである。島田髷は古代の埴輪人物像にもみられ,結髪の原点ともいえる。
髪形
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百科事典マイペディア 「島田髷」の意味・わかりやすい解説

島田髷【しまだまげ】

日本髪の一種。江戸前期男髷を基礎に成立した女性の髪形。起源について定説はないが,東海道島田宿の遊女が結い始めたという通説がある。初めは若衆髷に似て髷が水平で太かったが,のち身分階層によりさまざまな種類が生まれた。大別すれば上層階級の女性は髷が厚く根の高い高島田を結い,遊女などは根を低く,髷も平たく結うのが特徴であった。後者には投げ島田,つぶし島田など多くの種類がある。現在花嫁などの用いる鬘(かつら)は高島田の系統である。
→関連項目髪形結綿

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「島田髷」の意味・わかりやすい解説

島田髷
しまだまげ

略して島田ともいう。日本髪の一種。女髷で,特に婚礼時の結髪に用いられた。髪の根を高く結ぶのを文金高島田,低く結ぶのをつぶし島田という。前者は上流の女性が,後者は中流以下の娘が好んで結った。また商家の娘はつぶし島田の上に結綿 (ゆいわた) と称する裂 (きれ) を掛けた。島田髷は,もと東海道島田宿の遊女が結ったところからその名があるとする説,また歌舞伎役者の島田万吉が結ったからとする説などがあるが,髷の根を強く締め束ねたところから,「しめた」の転訛であるとするのが正しいようである。

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世界大百科事典(旧版)内の島田髷の言及

【髪形】より

…詳細は不明であるが,男女の髪形に多少の区別があったことは確かである。5~6世紀の古墳時代につくられた埴輪をみると,男子像はおおむね美豆良(みずら),女子像は後世の島田髷(しまだまげ)に似たを結いあげている。7~8世紀の飛鳥から奈良時代にかけては,風俗全体が隋・唐の影響をうけて大陸様式を模したものとなった。…

※「島田髷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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