高野山上に源を発し、有田郡
源流は高野山上の
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
和歌山県中部,有田郡の町。2006年1月金屋(かなや),吉備(きび),清水(しみず)の3町が合体して成立した。人口2万7162(2010)。
有田川町西部の旧町。有田郡所属。人口9053(2005)。有田川中流域に位置し,紀伊山地に属する長峰・白馬両山脈が広く分布する。有田川本支流沿いの低地に集落が点在し,中心集落の金屋は谷口に開けた市場集落である。農林業を基幹産業とし,ミカンや野菜の栽培が盛んで,特にシシトウの出荷量が多い。生石(おいし)高原地帯ではトマト,キュウリの抑制栽培が行われる。北東部の生石ヶ峰一帯は生石高原県立自然公園に属する。鎌倉前期の華厳宗の高僧明恵の誕生地で,明恵が草庵を結んだ明恵上人筏立遺跡,明恵の死後,高弟喜海が湯浅宗氏と協力して建てた歓喜寺があり,本尊の阿弥陀如来座像や地蔵菩薩座像は重要文化財。ほかにも文化財が多く,薬王寺観音堂,法音寺本堂,白岩丹生神社本殿,鈴木家住宅などが重要文化財に指定されている。
有田川町西端の旧町。有田郡所属。人口1万4971(2005)。有田川下流に位置し,北部には紀伊山地西縁の長峰山脈が,南部には白馬山脈が走り,その間に有田川の平野が開ける。町名は古代に設けられた吉備郷に由来する。西部をJR紀勢本線,国道42号線が通り,JR藤並駅から有田鉄道が分岐する(有田鉄道は2002年廃止)。阪和自動車道のインターチェンジがある。農業が基幹産業で,養鶏も行われる。有田ミカンの主産地で,和歌山県農林水産総合技術センター果樹試験場がある。西山浄土宗の浄教寺には重要文化財の仏涅槃図,大日如来座像があり,明恵上人神谷遺跡は国の史跡に指定されている。室町時代の連歌師宗祇の生まれた地ともいわれる。
有田川町東部の旧町。有田郡所属。人口4616(2005)。有田川上流域に位置する。町域には紀伊山地に属する長峰・白馬両山脈が広く分布し,東は県下最高峰の護摩壇(ごまだん)山(1372m)を境に奈良県と接する。町域の大部分が山林で,林業を基幹産業とする。古くからシュロ,サンショウの特産物があり,和紙製造も行われた。北西端は生石(おいし)高原県立自然公園,東端は高野竜神国定公園に属する景勝地で,観光開発も進められている。古代から中世にかけて阿氐河荘(あてがわのしよう)の荘域に含まれ,安楽寺,吉祥寺など重要文化財級の寺宝をもつ古刹(こさつ)も多い。
執筆者:上田 雅子
高野山を水源とし,紀伊水道に注ぐ川。幹川流路延長94km,全流域面積468km2。北は長峰山脈に,南は白馬山脈によって限られ,和歌山県の北寄りをほぼ東西に流れる。流域は上流の伊都郡かつらぎ町の旧花園村を除き,有田川町,湯浅町,有田市は旧有田郡に属して,行政的にもまとまりをなしてきた。地質的には紀北の古生層と紀中の中生層の接触地帯にあたり,複雑である。上流は,和歌山県の最高峰護摩壇山をはじめ,1000mをこす険しい山が連なり,深い渓谷をなして有田川およびその支流が蛇行しながら流れる。上流域は林業地域となり,植林が進んでいる。谷口集落の有田川町金屋以西は回廊状の狭い沖積平野を伴い,有田市へ注ぐ。河口はらっぱ状で三角州の形成も乏しいため,荒れ川としても知られ,1953年7月に流域は大洪水に襲われ,8割近くの耕地が流失・冠水した。66年には上流に二川(ふたがわ)ダムが多目的ダムとして築かれ,防災・灌漑用に利用されている。近世以来,山麓では有田ミカンが栽培されてきたが,1960年以降ははんらん原の水田も転用され,流域の総耕地の8割以上がミカン園である。流域の中心都市は長い間南隣の湯浅町であったが,河口の有田市に近代工場が進出するにつれ,しだいに銀行,官庁が移動して有田市が中心都市になりつつある。有田川の上流は高野竜神国定公園に指定され,70年に高野竜神スカイラインが開通した。海岸はリアス海岸が発達し,西有田県立公園に含まれ,釣場として関西の人を集めている。
執筆者:水田 義一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
和歌山県中北部、有田郡にある町。2006年(平成18)有田郡の吉備(きび)、金屋(かなや)、清水(しみず)の3町が合併し、有田川町となる。東は紀伊山地、北は長峰山脈、南は白馬山地と三方を山で囲まれ、町のほぼ中央を有田川が蛇行しながら東から西へ流れる。JR紀勢本線(きのくに線)、国道42号、371号、424号、480号、阪和自動車道(有田インターチェンジ)、湯浅御坊道路(有田南インターチェンジ)などが通じる。町の西部を走っていた有田鉄道は2002年に廃止となった。農林業が盛んな地域で、おもにミカンなどの果樹栽培や野菜栽培が行われ、県立果樹試験場もある。国指定重要文化財に江戸中期の民家である鈴木家住宅、吉祥寺・浄教(じょうきょう)寺の大日如来(にょらい)坐像、法音寺の本堂、吉祥寺の薬師堂などがある。また明恵上人(みょうえしょうにん)の出身地で、関連する遺跡が数多くあり、うち吉原、糸野、神谷(かみたに)、筏立(いかだち)の4遺跡は明恵紀州遺跡卒都婆(そとば)の名称で指定される国の史跡群に含まれる。新春の予祝行事である杉野原の御田(おんだ)舞は国の重要無形民俗文化財。そのほか、鷲ヶ峰(わしがみね)コスモスパーク、二川(ふたがわ)ダム湖などの行楽地がある。面積351.84平方キロメートル、人口2万5258(2020)。
[編集部]
和歌山県北部を流れる川。高野山(こうやさん)の御殿(おど)川に源を発し、西流して有田市箕島(みのしま)で紀伊水道に注ぐ。延長67.2キロメートル、流域面積約430平方キロメートル。上流部を除きほぼ有田郡全域を流域とすることから有田川とよばれる。もとは在田川と書いた。北側は高野山から西走する長峰(ながみね)山脈、南側は護摩壇山(ごまだんざん)から西走する白馬(しらま)山脈で、古生層と中生層の境界線を流れ、中流部に地すべり地帯がある。1953年(昭和28)7月16日全流域に及ぶ大災害があり、1967年清水(しみず)町(現、有田川町)二川(ふたかわ)に防災ダムがつくられた。下流一帯は有田ミカンの中心的栽培地で、かつては川船で河口箕島北湊(きたみなと)に運ばれた。古くからの農用井堰(いせき)も多い。アユが放流され、有田市では鵜飼(うかい)(県指定無形民俗文化財)が行われる。
[小池洋一]
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