神無月(読み)カンナヅキ

デジタル大辞泉 「神無月」の意味・読み・例文・類語

かんな‐づき【神無月】

《「かむなづき」とも表記》陰暦10月の異称。かみなしづき。かみさりづき。 冬》「―ふくら雀ぞ先づ寒き/其角」→神在月かみありづき
[補説]語源については、全国から神々が出雲大社に集まるため、諸国に神がいなくなる月の意からという俗説が古くからいわれている。別に、新米で酒をかもす「醸成月かみなしづき」、あるいは雷の鳴らない「雷無月かみなしづき」の意ともいわれるが、「な」は「の」の意で、神を祭る月すなわち「神の月」の意とする説が有力。→神在月かみありづき

かみな‐づき【神無月】

かんなづき」に同じ。

かむな‐づき【神無月】

かんなづき

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精選版 日本国語大辞典 「神無月」の意味・読み・例文・類語

かみな‐づき【神無月】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「な」は「の」の意で、「神の月」すなわち、神祭りの月の意か。俗説には、全国の神々が出雲大社に集まって、諸国が「神無しになる月」だからという ) 陰暦一〇月のこと。かんなづき。かみなしづき。かみなかりづき。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「十月(かみなづき)しぐれにあへる黄葉(もみちば)の吹かば散りなむ風のまにまに」(出典万葉集(8C後)八・一五九〇)
    2. 「かみな月、例の年よりもしぐれがちなる心なり」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)

かんな‐づき【神無月】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「かむなづき」とも表記 ) =かみなづき(神無月)《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「孟冬(カムナツキ)の作陰(すす)しき月(つき)」(出典:日本書紀(720)雄略天皇即位前(前田本訓))

神無月の補助注記

「神無月」「神な月」などと表記された用例は「かみなづき」の項に含めた。


かみなし‐づき【神無月】

  1. 〘 名詞 〙かみなづき(神無月)奥義抄(1135‐44頃)〕

かむな‐づき【神無月】

  1. 〘 名詞 〙かんなづき(神無月)

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改訂新版 世界大百科事典 「神無月」の意味・わかりやすい解説

神無月 (かんなづき)

旧暦10月のこと。この月に全国の八百万(やおよろず)の神々が出雲に集まり,村には神が不在となるために神無月といい,逆に出雲では神在月(かみありづき)という。しかし,出雲でも出雲大社や佐太神社などでは,神在祭(じんざいさい)の最後の日にはカラサデという一種の神送りが行われている。神々が出雲へたつことを神立ち,お上り,神渡し,御出舟などといい,9月晦日または10月朔日にたつというのが普通であるが,これより早い所もある。1月間の滞在の後の神々の還御はお下り,神迎え,御入舟などという。神の送迎の日には風雨や大風など天気が荒れるという伝承が伴っており,村の鎮守でお籠りする風習もある。この信仰の起源は明らかでないが,《徒然草》第202段には,〈十月を神無月と云ひて,神事に憚るべきよしは,記したる物なし。……但し,当月,諸社の祭なき故に,この名あるか〉とある。また同書には神々は出雲でなく伊勢神宮へ集まるという説もみえ,古くは出雲とは決まっていなかったらしい。出雲へ集まった神々は男女の縁をきめてくるといわれ,未婚の男女が良縁を願って村の鎮守に参拝する所もある。神が不在の間に,家では荒神,竈神,夷神などの家の神や山の神が留守神(るすがみ)としてまつられる。出雲への神送り,神迎えは祭りのたびごとに神を送迎した信仰のなごりといい,10月は霜月祭の前の物忌のために神祭をしない月ということで神無月と呼ばれたともされている。
神送り・神迎え →留守神
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「神無月」の意味・わかりやすい解説

神無月
かんなづき

陰暦10月の異称。「かみなづき」の音便で、「かむなづき」「かみなしづき」とも読む。季節は孟冬(もうとう)で、時雨(しぐれ)月、神去り月などともいう。名称の由来については、雷の声が収り果つるゆえに「雷無(かみなし)月」といい、6月を「雷鳴(みな)月」というのに対するとか、10の数より上の数はないので「上無(かみなし)月」というとか、伊弉冉尊(いざなみのみこと)が崩じた月というので「神無(かみなし)月」というとか、新しくとれた米穀で酒を醸造する月というので「醸成(かみなし)月」というなどの諸説がある。なかでもっとも有名なのは、10月には日本国中の神々が出雲(いずも)大社に集まり、出雲以外の国々には神が不在となるため、「神無月」(逆に出雲では「神在(かみあり)月」という)という説である。

[宇田敏彦]

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とっさの日本語便利帳 「神無月」の解説

神無月

一〇月。諸神が出雲に集合し、他の地方では神が不在になるため。

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世界大百科事典(旧版)内の神無月の言及

【留守神】より

…神無月(かんなづき)(旧暦10月)には,日本中の神々が出雲の出雲大社に集まるという伝えが平安時代からあるが,そのとき留守居をするという神がある。一般には,オカマサマあるいは荒神(こうじん),恵比須,大黒,亥子(いのこ)の神を留守神としているところが多く,これらの神は,家屋に定着した家の神である点で共通する。…

※「神無月」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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