日本大百科全書(ニッポニカ) 「神近市子」の意味・わかりやすい解説
神近市子
かみちかいちこ
(1888―1981)
評論家、政治家。長崎県生まれ。1912年(明治45)津田英学塾在学中に青鞜社(せいとうしゃ)に加盟し、1914年(大正3)東京日日新聞記者となる。宮嶋資夫(みやじますけお)、大杉栄らと知り合い、1916年大杉をめぐる愛情関係から大杉を刺傷し(葉山日蔭(ひかげ)茶屋事件)、懲役2年の実刑に服した。出獄後、翻訳など文筆活動に従事し、1928年(昭和3)『女人芸術』の創刊に参加した。敗戦後の1953年左派社会党から衆議院議員に当選、1回の落選を挟んで4期当選し、売春防止法の制定に尽力した。1969年政界から引退した。
[赤澤史朗]
『『神近市子自伝』(1972・講談社)』▽『『神近市子著作集』全6巻(2008・学術出版会)』