結縁灌頂(読み)ケチエンカンジョウ

デジタル大辞泉 「結縁灌頂」の意味・読み・例文・類語

けちえん‐かんじょう〔‐クワンヂヤウ〕【結縁×灌頂】

仏縁を結ばせるために、灌頂壇で諸尊の上に花を投げさせ、当たった仏をその人の有縁の仏として、その仏の印と真言を授けること。

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精選版 日本国語大辞典 「結縁灌頂」の意味・読み・例文・類語

けちえん‐かんじょう ‥クヮンヂャウ【結縁灌頂】

〘名〙 仏語。広く一般の人に仏縁を結ばせるために行なう灌頂。灌頂教授阿闍梨(あじゃり)が、受ける者を灌頂壇に導き、諸尊に花を投げさせて花の落ちたところの仏を有縁の主尊と定め、その仏の尊号を唱えて、受ける者の頭に瓶水(ひょうすい)を注ぎ、一印一明(いちいんいちみょう)を授けるもの。→灌頂(かんじょう)②。《季・冬》
源平盛衰記(14C前)八「本経の説の如くは、三種の灌頂あり。所謂結縁灌頂(ケチエンくゎんぢゃう)伝法灌頂、自証灌頂也」

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改訂新版 世界大百科事典 「結縁灌頂」の意味・わかりやすい解説

結縁灌頂 (けちえんかんぢょう)

仏事の種類名。密教信徒に対して,大日如来をはじめとする曼荼羅の諸尊に縁を結ばせ,聖水頭頂にそそぐ仏事をいう。
灌頂
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「結縁灌頂」の意味・わかりやすい解説

結縁灌頂
けちえんかんじょう

密教儀式の一つ。広く在家の人々に仏縁を結ばせるため行う。結縁を受ける在家者を覆面させて,敷曼荼羅の上に花を投げさせ,花の当った尊像をその人と有縁の仏とする。

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世界大百科事典(旧版)内の結縁灌頂の言及

【灌頂】より

…灌頂には多くの種類があるが,今日もっとも普通に行われるのは次の3種である。(1)結縁(けちえん)灌頂 目隠しをして登壇し,敷曼荼羅(しきまんだら)の上に華を投じ,華の落ちた尊を有縁(うえん)として受けるもの。この結縁の尊によって,本来自己に具わっている大日如来の万徳が,これを機縁にしだいに開発されていく証(あか)しとされる。…

【結縁】より

…結縁は,ただちに修行に入り悟りを得ることに直結しなくとも,これが縁となって将来の成仏(じようぶつ)につながる因縁として重要視された。密教ではその教えに接する者を結縁機といい,諸尊のなかから自分の守本尊を選びとる灌頂(かんぢよう)を結縁灌頂という。また結縁のために経文を書写することを結縁経といい,これを供養する法会を結縁経供養という。…

【伝法】より

…これを伝法職位(しきい)という。こうした密教僧への伝法だけでなく,一般信者にも結縁(けちえん)のために灌頂を許すことがあり,これを結縁灌頂という。各宗ともに伝法儀式において,僧侶の伝法に俗人を結縁させることがあるのは,日本仏教の特色である。…

※「結縁灌頂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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