法律上婚姻関係にある者(夫または妻)を一方からいう称。日本民法725条のように配偶者を血族,姻族でもなく親等もない親族とする立法例はほかに例がないといわれる。配偶者と相手方配偶者の血族との間には姻族関係が発生し,相手方との離婚により姻族関係は当然に消滅する。相手方死亡の場合には,姻族関係終了の意思表示をすると姻族関係は消滅し,姻族としての権利義務を負う必要はなくなる(民法728条など)。配偶者は同じ氏を称し,同居協力扶助の義務を負い,子どものいる場合には子に対して親権を行使し養育に努めなければならない。相手方死亡に際しては相続権を有するとともに各種年金受給権,生命保険金受給権,損害賠償請求権を認められることになる。さらに,脳死判定による臓器移植への拒否権も有する。税法上は配偶者控除が受けられたり,配偶者間での贈与も婚姻期間,贈与の額,財物の性質によって課税されない場合もある。また,身代金誘拐罪にいう近親者に含まれ(刑法225条の2),窃盗罪では特別な扱いをうけることがある(244条。親族相盗)。
→夫婦
執筆者:南方 暁
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
夫からみて妻を、妻からみて夫を、それぞれ配偶者という。法律上は親族とされている(民法725条2号)が、親等はない。配偶者たる地位は、婚姻によって生ずる。婚姻は婚姻届を出すことによって効力を生ずる(同法739条1項)ので、届出をしないいわゆる内縁関係にある者は、法律的には配偶者といえない。しかし、社会保障関係の法律では、そのような者も配偶者と同じに扱っているものが多い。配偶者は、夫婦関係に伴った特別の権利義務関係にある。たとえば、同居・協力・扶助の義務(同法752条)、婚姻費用の分担義務(同法760条)、日常家事による債務の連帯責任(同法761条)などである。また、配偶者はつねに相続人となる(同法890条)。
[高橋康之]
… 狭義で親族というとき,単系(父系か母系かの一方),双系(両者の双方),非単系のいずれにせよ,個人単位間の親族関係の連鎖のなかに任意の特定の個人の出自(社会的に誰の血統をひくとみるか)をもって社会のなかに個人を位置づける,その位置づけ方によってみられる各種の親族体系だけを指して,夫婦関係は除外し,結婚により所属が変化するとはみない親族の観念をもつ社会もある。しかし,そういう社会でも,もちろん配偶者の一方がその居住を結婚相手の両親とともにしたり,もしくはその同じ地縁社会へ居住を移して夫婦が同居したりすることがないわけではない。欧米や日本のように複雑な文化をもつ社会では,夫婦関係を含めて親族の体系をみ,夫婦関係を中心に親族生活が行われるが,他方では母子関係を中心に親族関係がみられる社会や,父子関係を中心にそれのある社会,また,結婚やそれに基づく居住の変化にかかわらず親族としての所属,系統には変更がない社会も存在する。…
※「配偶者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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