親等(読み)シントウ

デジタル大辞泉 「親等」の意味・読み・例文・類語

しん‐とう【親等】

親族関係遠近を表す単位。直系親では世数により、傍系親ではその共同の始祖までの世数を合計して定める。親子は一親等祖父母兄弟・孫は二親等おじおば三親等など。
[類語]親類親族姻戚姻族親戚

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「親等」の意味・読み・例文・類語

しん‐とう【親等】

  1. 〘 名詞 〙 親族関係の遠近を示す単位。親子の関係を一親等とし、祖父母・孫は二親等となる。傍系親族の場合は、同じ先祖までたどるので、兄弟姉妹は二親等、いとこは四親等となる。
    1. [初出の実例]「親等は、親族間の世数を算して、之を定む」(出典:民法(明治二九年)(1896)七二六条)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「親等」の意味・わかりやすい解説

親等 (しんとう)

親族間のへだたりの度合を表す単位。民法では,1世代を1親等として親等数を計算する(726条)。これを世数親等制という。直系血族間では両者の間の世代数がそのまま親等数になる。たとえば,親は1親等,祖父母は2親等の直系血族である。傍系の血族間では,一方から共通の始祖までさかのぼり他方に下るまでの世代数によって決める。たとえば,兄弟姉妹は2親等,おじ・おばやおい・めいは3親等,いとこは4親等の傍系血族となる。姻族については配偶者を起点として同様に計算する。たとえば,妻の父母は1親等,兄弟姉妹は2親等の姻族となる。また,夫と妻の連れ子との間は1親等の姻族,先妻の子と後妻との間も同様である。配偶者間には親等はない。このような計算方法はローマ法に由来するところから,ローマ法主義の世代親等制と呼ばれる。現代ではどこの国もこの方式を採用しているが,歴史的にはカノン法あるいは教会法主義の世代親等制という方式があった。両者の相違点は傍系血族の親等計算方法にある。ローマ法方式が共通の始祖までの世代数を合算するのに対し,カノン法方式は共通の始祖に至る世代数の多いほうをそのまま親等数とした。カノン法方式によれば,兄弟姉妹は1親等,おじ・おばやおい・めいは2親等,いとこも2親等の親族となる。日本では明治民法制定の際に,ローマ法方式を最も単純で合理的であるという理由で採用した。

以上述べた親等制と似たものに等親制がある。日本では明治民法制定によって廃止された過去の制度であるが,用語や観念に類似点があるので注意する必要がある。両者は親族の関係を表す尺度という点では共通点をもつが,制度の基礎となる思想や制度の内容はまったく異なるものである。等親制は中国の古制に由来し(宗法),日本固有の親族観念と融合して大宝令(701),養老令(718)にとり入れられ,その後消長はあったが,明治以後再構成されて1870年(明治3)の新律綱領の5等親制となった。等親制は〈家〉を尊重する,いわゆる旧〈家族制度〉的思想に基づく価値観によって親族の構成員の尊卑地位を定め,これを個別的に列挙して示すという方法をとっていた。新律綱領では,1等親に属するものは父,母,夫,子など,2等親は祖父母,継母,兄弟姉妹,夫の父母,妻,妾など,3等親は曾祖父母,いとこ,異母兄弟姉妹など,4等親は夫の兄弟姉妹,兄弟の妻など,5等親は妻の父母女婿などである。夫は1等親,妻は2等親,しかも妻は妾と同列の2等親とされているなど,現代の個人の尊厳と両性の本質的平等(民法1条ノ2)という家族観念とはまったく異質のものであって,階級等親制とも呼ばれているものである。新律綱領は刑事法であって直接民事法的効果を定めたものではないが,そこに現れている家族思想は,近代以前における日本の家族制度を背景にしたものであり,明治民法の親族規定に大きな影響を与えたものであることに注意する必要がある。
親族 →続柄
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「親等」の意味・わかりやすい解説

親等【しんとう】

親族関係の親疎を測る尺度。民法は親族間の世代数を数えてこれを定めることにしている(民法726条)。すなわち,直系血族(直系親族)間ではその間の世代の数がそのまま親等であり(祖父と孫は二親等),傍系血族(傍系親族)間では,その一方またはその配偶者から共同の始祖にさかのぼり,その始祖から他の一方に下るまでの世代数を数えてこれを定める(伯父と姪(めい)は三親等)。姻族の場合には配偶者を基準として計算する。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「親等」の意味・わかりやすい解説

親等
しんとう
degree

親族間の遠近の度合い。親族間の世代数を数えて定める。なお傍系親族については共通の始祖にさかのぼり,その始祖からまた下がってこの間の世代数を合計する。たとえば本人あるいはその配偶者を基準にして,それぞれの直系親族である親,子は1親等,祖父母,孫は2親等であり,また傍系親族である兄弟姉妹は2親等,おじ,おばは3親等である。親等は民法上,親族の範囲や近親婚の禁止される範囲,また扶養義務の範囲や相続の順位の決定などについて関係があるとともに,民事訴訟法上,証言拒絶権の認められる者の範囲の決定についても関係がある。親等の決定方式には,日本法を含む多くの近代法が採用しているローマ方式のほか,傍系親等を共同始祖からの世代数のみで計算する教会法式があり,さらに以上のような世代数による親等決定制度 (世数親等制) をとらず,地位の尊卑などによって決定する階級親等制も古法にはみられた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「親等」の意味・わかりやすい解説

親等
しんとう

親族関係の遠近度を計る単位。親族間の世数を数えて定める。傍系親族については、共同の始祖までの世数を合計して定める(民法726条)。

[高橋康之・野澤正充]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

普及版 字通 「親等」の読み・字形・画数・意味

【親等】しんとう

親疎の等級。

字通「親」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android