デジタル大辞泉
「食らう」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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くら・うくらふ【食・喰】
- 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙
- ① 飲み食いする。食べる。食う。
- [初出の実例]「薬を餌(クラフ)方法とを問ひて」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)九)
- 「楫取りもののあはれも知らで、おのれし酒をくらひつれば」(出典:土左日記(935頃)承平四年一二月二七日)
- 「奥山に、猫またといふものありて、人をくらふなる」(出典:徒然草(1331頃)八九)
- ② ( 生きるのに必要な食べ物を口に入れる意から ) 生活する。生計を立てる。くらす。
- [初出の実例]「海道にいて、茶屋をしてくらふ奴が」(出典:狂言記・禰宜山伏(1730))
- ③ 動物などが、かみつく。
- [初出の実例]「イケヅキワ クロクリゲナ ウマノ ウマヲモ ヒトヲモ アマリ curǒtareba(クラウタレバ)」(出典:天草本平家(1592)四)
- ④ 好ましくないことを身に受ける。被害を受ける。こうむる。
- [初出の実例]「ヤアこりゃ狼藉して、息杖(いきづえ)のむね打ちをくらふかと振り上る」(出典:浄瑠璃・淀鯉出世滝徳(1709頃)上)
- ⑤ (利益などを)むさぼる。
- [初出の実例]「唐狛は利を啗(クラ)ひ勢ひに諛(へつら)ひ」(出典:露団々(1889)〈幸田露伴〉二〇)
- ⑥ 追放の罰を受ける。追放される。
- [初出の実例]「五十ぞう江戸をくらったやつとにげ」(出典:雑俳・柳多留‐一二(1777))
- ⑦ 警察署の留置場に入れられる。
- [初出の実例]「少しぐらひクラっても、俺はさういふ面白い目に会ひたいと云ふんですからね」(出典:彼女とゴミ箱(1931)〈一瀬直行〉橋下のルンペン)
食らうの語誌
( 1 )類義語に、「くふ」「はむ」がある。このうち、「はむ(食)」が主に食べることに用いられるのに対し、他は飲むことにも用いられる。
( 2 )①に挙げた「土左日記」「徒然草」などの例では、身分の低いものが情緒なく粗野に飲食する様子や、動物でも恐怖感を伴うような獣が人を食う様子を表わしており、「くふ」に比べて、侮蔑・嫌悪などのマイナス感情を伴って表現されている。
( 3 )中古仮名文学作品には「くらふ」はほとんど見られず、一方漢文訓読の方では「くふ」も用いられるが「くらふ」の方が多い。「くらふ」は俗語的位相と漢文訓読語系文語という両極端で使われたことになるが、漢文訓読の「くらふ」は当時の卑俗語としての用例が影響したものとも解釈されている。
( 4 )現代語の飲食の意味の「食らう」は、やはり卑俗語の性格を残すが、「くらいつく」「かきくらう」など複合語の用法に偏り、次第に使用範囲が限定されるようになっている。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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