( 1 )類義語に、「くふ」「はむ」がある。このうち、「はむ(食)」が主に食べることに用いられるのに対し、他は飲むことにも用いられる。
( 2 )①に挙げた「土左日記」「徒然草」などの例では、身分の低いものが情緒なく粗野に飲食する様子や、動物でも恐怖感を伴うような獣が人を食う様子を表わしており、「くふ」に比べて、侮蔑・嫌悪などのマイナス感情を伴って表現されている。
( 3 )中古仮名文学作品には「くらふ」はほとんど見られず、一方漢文訓読の方では「くふ」も用いられるが「くらふ」の方が多い。「くらふ」は俗語的位相と漢文訓読語系文語という両極端で使われたことになるが、漢文訓読の「くらふ」は当時の卑俗語としての用例が影響したものとも解釈されている。
( 4 )現代語の飲食の意味の「食らう」は、やはり卑俗語の性格を残すが、「くらいつく」「かきくらう」など複合語の用法に偏り、次第に使用範囲が限定されるようになっている。
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