頂く(読み)イタダク

デジタル大辞泉 「頂く」の意味・読み・例文・類語

いただ・く【頂く/戴く】

[動カ五(四)]
頭にのせる。かぶる。また、頭上にあるようにする。「王冠を―・く」「雪を―・いた山々」「星を―・いて夜道を行く」
敬意を表して高くささげる。頭上におしいただく。「宸翰しんかんを―・く」
敬って自分の上の者として迎える。あがめ仕える。「有識者を会長に―・く」
もらう」の謙譲語。「激励の言葉を―・く」
食う」「飲む」の謙譲語。
㋐与えてくれる人を敬っていう。「もう十分に―・きました」
㋑自分の飲食することをへりくだり、上品にいう。「お酒も少しは―・きます」
[補説]近年、「食う」「飲む」の謙譲語「いただく」を「どうぞ冷めないうちに頂いてください」のように尊敬語として使う人がいる。誤用であるが増えてきている。
苦労もなく、手に入れる。「今度の試合は―・いたも同然だ」
《「小言をいただく」の意から》しかられる。小言をくう。また、しそこなう。
「道理で茶番のたんびに―・くはずだあ」〈滑・八笑人・初〉
補助動詞
㋐(動詞連用形接続助詞「て」を添えた形に付いて)話し手または動作の受け手にとって恩恵となる行為を他者から受ける意を表す。「これが先生にほめて―・いた作品です」「せっかく来て―・いたのですが、主人は今おりません」「一言声をかけて―・いたらよろしかったのに」
㋑(接頭語「お」または「」に動詞の連用形またはサ変動詞の語幹を添えた形に付いて)8㋐に同じ。「これから先生にお話し―・きます」「お読み―・きたい」「御心配―・きまして」「御審議―・きたい」
㋒(動詞の未然形使役助動詞「せる」「させる」の連用形、接続助詞「て」を添えた形に付いて)自己がある動作をするのを、他人に許してもらう意を表す。「させてもらう」の謙譲語。「あとで読ませて―・きます」「本日は休業させて―・きます」
[可能]いただける
[類語](1着るかぶかむ引っ被るはく羽織るまとう着込む着こなす突っかける・お召しになる/(4貰う押し頂く受ける受け取る収める収受する受納する受領する受給する受贈する譲り受ける貰い受ける授かるたまわ頂戴ちょうだいする拝領する拝受する申し受ける/(5食べる食らう食う召し上がる食するつつ味わう啄む

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「頂く」の意味・読み・例文・類語

いただ・ける【戴・頂】

  1. 〘 カ下一 〙 ( 「いただく(戴)」の可能動詞 )
  2. いただくことができる。もらえる。また、飲食することができる。
    1. [初出の実例]「巾着切りの上前をはねなければ三度の御膳が戴けないと」(出典:坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉七)
  3. ( 多く、否定表現を伴って用いられる ) よいと認めて受け入れることができる。
    1. [初出の実例]「玄人(くろうと)の特徴も頂けなかった」(出典:大阪の宿(1925‐26)〈水上滝太郎〉三)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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