ユルスナール(読み)ゆるすなーる(英語表記)Marguerite Yourcenar

デジタル大辞泉 「ユルスナール」の意味・読み・例文・類語

ユルスナール(Marguerite Yourcenar)

[1903~1987]フランスの女流小説家。ベルギー生まれ。のち、米国定住。1981年、女性初のアカデミーフランセーズ会員となる。歴史小説のほか戯曲・翻訳などでも活躍。作「ハドリアヌス帝の回想」「黒の過程」など。

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精選版 日本国語大辞典 「ユルスナール」の意味・読み・例文・類語

ユルスナール

(Marguerite Yourcenar マルグリット━) フランスの女流小説家。ベルギー生まれ。のち、米国に定住。一九八一年、女性初のフランスアカデミー会員となる。歴史小説のほか戯曲・翻訳などでも活躍。作「ハドリアヌス帝の回想」「黒の過程」など。(一九〇三‐八七

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユルスナール」の意味・わかりやすい解説

ユルスナール
ゆるすなーる
Marguerite Yourcenar
(1903―1987)

フランスの女流作家。本姓ド・クレイヤンクールde Crayencour。1981年、女性として初めてアカデミー会員に選ばれた。ブリュッセルに生まれ、幼時から父に伴われて各地を旅行した。好んで過去の激動期を背景に選び、該博な知識と透徹した人間観に裏づけられた作品が多い。39年以降アメリカに住む。代表作『ハドリアヌス帝の回想』(1951)、『黒の過程』(1968。フェミナ賞受賞)のほか『アレクシス あるいは空しい戦いについて』(1929)、短編集『東方綺譚(きたん)』(1938初版、1976改訂版)、『とどめの一撃』(1939)、評論集『検証を条件に』(1962)、『時、この偉大なる彫刻家』(1983)、家門の記録『世界の迷路』(全3巻)など。没後、82年秋の日本滞在記を含む『牢獄巡回』(1991)が刊行された。

岩崎 力]

『多田智満子訳『ハドリアヌス帝の回想』『東方綺譚』(1979、84・白水社)』『岩崎力訳『アレクシス あるいは空しい戦いについて』『黒の過程』(1981・白水社)』『岩崎力訳『流れる水のように』(1991・白水社)』『岩崎力訳『とどめの一撃』(1995・岩波文庫)』『多田智満子訳『火』(1983・白水社)』

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百科事典マイペディア 「ユルスナール」の意味・わかりやすい解説

ユルスナール

フランスの女性作家。本名はMarguerite de Crayencour。ベルギーのブリュッセルに生まれる。主に父と家庭教師の指導のもと,該博な古典的教養を身につける。1939年に米国へ渡り,文学の教師をつとめる。ラテン語を思わせる簡潔な文体で書かれた《ハドリアヌス帝の回想》(1951年)でフェミナ賞を受け,世界的な名声を得る。再度《黒の過程》(1968年)によって同賞を受ける。また,《夢の貨幣》(1934年)《東方綺譚》(1937年)《とどめの一撃》(1939年)などの作品のほかに,V.ウルフなどの英文学の翻訳等もある。アカデミー・フランセーズ創立以来初の女性会員。三島由紀夫を高く評価したことも知られている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ユルスナール」の意味・わかりやすい解説

ユルスナール
Yourcenar, Marguerite

[生]1903.6.8. ブリュッセル
[没]1987.12.17. メーン
ベルギー生れのフランスの女流作家。本名 Marguerite de Crayencour。自己の生涯を回顧し,絶頂期にある文明の未来を冷静に見つめるローマ皇帝の独白『ハドリアヌス帝の回想』 Mémoires d'Hadrien (1951) によって文名を確立した。ほかに,16世紀の錬金術師を主人公にした小説『黒の過程』L'Œuvre au noir (68) ,エッセー『検証を条件に』 Sous bénéfice d'inventaire (62) など。 1980年,女性として初めてアカデミー・フランセーズ会員に選ばれた。

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