精選版 日本国語大辞典 「和尚・和上」の意味・読み・例文・類語
お‐しょう ヲシャウ【和尚・和上】
※正法眼蔵(1231‐53)受戒「和尚阿闍梨まさに受者ををしへて」
② 僧位の称。大和尚位、法印和尚位、法眼和尚位などがあり、それぞれ略して和尚と呼ぶことがあったが、法眼(ほうげん)を指す場合が多い。
④ 剃髪(ていはつ)した者の総称。
(イ) 僧侶一般をさす。普通は住職以上に対して用いる。
※洒落本・間似合早粋(1769)早粋の辞「坐頭(ざとう)はだれでも和尚(オセウ)和尚(オセウ)と一ときはよく会釈(あしろふ)て」
(ハ) 医者や幇間など。
※洒落本・通言総籬(1787)一「おしゃうさきへはいらっせへ」
⑤ その道ですぐれた人、一芸にひいでた人をいう。
※随筆・本朝世事談綺(1733)一「茶礼は、禅家隠遁の体を模し、質素閑静を学びたるもの也。よって宗匠たる人を、和尚(オシャウ)といふなり」
※随筆・嬉遊笑覧(1830)四「剣術の師を和尚と云事〈略〉傾城にも和尚あり。ただすぐれたるをいふ俗語なり。そはむかし禅宗行はれてより俗人好みて仏家の語を用ひしが、今に残れる事いと多し」
※慶長見聞集(1614)五「おそしと待所に、をしゃう先立てまく打上はしがかりに出るを見れば」
(ハ) 転じて、芸達者な若女方の役者。
※仮名草子・元の木阿彌(1680)上「松本小源次とて四人ともに若女、ぬれしな物の、おしゃうなり」
わ‐じょう ‥ジャウ【和尚・和上】
〘名〙 (律宗、法相宗、真言宗などでいうもの。→「おしょう(和尚)」の補注)
① 多くの僧の師である僧。また、授戒の時に師となる僧。師僧。
※書紀(720)天武朱鳥元年六月(北野本南北朝期訓)「是の日、三綱、律師、及四寺の和上(ワシャウ)、知事、并に師位(のりのくらい)現有(いまあ)る僧等(ほうしとも)に、御衣、御被各一具(よそひ)を施す」
② 修行を積んだ高徳の僧。また、僧を尊敬していう語。
※正倉院文書‐天平勝宝八年(756)六月二一日・東大寺献物帳「鑒真和上、凌二滄海一而遙来」
③ 僧。坊主(ぼうず)。わじょ。
※歌謡・閑吟集(1518)「引よたまくら、きまくらにもおとるよ手枕、たかをのわじゃうの」
か‐しょう クヮシャウ【和尚・和上】
〘名〙 (「か」は「和」の漢音。天台宗で用いる読みかた。→「おしょう(和尚)」の補注) 仏語。
① 修行を積んだ高僧を敬っていう。戒を授ける僧。師僧。→戒和尚(かいわじょう)。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
※西源院本太平記(14C後)一五「教代和尚(クヮしゃう)百六十年行て」
② 僧位の称。大和尚位、法印和尚位など。
※贈位謚号勅書(866)「天台本師伝燈大法師位最澄 右可下贈二法印大和尚位一号中伝教大師上」
③ 僧侶一般をさす。普通は住職以上にいう。
※説経節・説経苅萱(1631)中「まきのをのたらんくゎしゃうと申が、〈略〉七日のせつぽうをおのべある」
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