道・路・途・径(読み)みち

精選版 日本国語大辞典 「道・路・途・径」の意味・読み・例文・類語

み‐ち【道・路・途・径】

〘名〙 (「み」は接頭語)
[一] 人の行き来するところ。また、その往来にかかわる事柄をいう。
① 通行するための筋。通行の用に供せられる所で、地点をつないで長く通じているもの。道路。通路。また、船舶の通行のために水上に設定された路線。航路
※古事記(712)下・歌謡「大坂に 遇ふや嬢子(をとめ)を 美知(ミチ)問へば 直には告らず 当藝麻知(たぎまち)を告る」
謡曲・丹後物狂(1430頃)「旅に雪間を道として、わが古里に帰らん」
② 特に大路、大通りに対して、小路、路地などをいう。
※狭衣物語(1069‐77頃か)三「まいて都の中の賤の男も、みち、大路の行き交ひにも」
③ ①によって至りつく土地。地方。国。さかい。また、六道をいう。
※古事記(712)中「大毘古命をば高志道(こしのみち)に遣(つか)はし
④ ①を進んで行く、その途中。途上。道中。
※伊勢物語(10C前)一一「昔、男、あづまへ行きけるに、友だちどもに、みちよりいひおこせける」
※歌舞伎・お染久松色読販(1813)中幕「アイヤ、お帰りならば私が、どうで道迄お見送り」
⑤ ①を進み行くこと。行き向かうこと。道行き。旅行。
源氏(1001‐14頃)須磨「いくとせそのほどと限りあるみちにもあらず」
⑥ みちのり。道程行程。また、長さの単位、「里(り)」をさしていう。ただし、今日では「半みち」以外には用いられない。
平家(13C前)九「都へちかづく事も纔(わづか)に一日の道なれば」
[二] 人の進むあり方。人の行為・生き方について規範とすべき筋。
① そのものの分、または定めとして、よりしたがわねばならぬ筋。また、物事が必然的に成り行く筋、ことわり。道理。条理。「人の道」「男の道」「親子の道」
万葉(8C後)五・八九二「かくばかり すべなきものか 世間(よのなか)の道(みち)
神仏、聖賢などが示した道。神仏、聖賢の教え。教義。教理。特に、仏道をいう場合が多い。「仏の道」「法(のり)の道」
※万葉(8C後)二〇・四四六八「うつせみは数無き身なり山川のさやけき見つつ美知(ミチ)を尋ねな」
みだれ髪(1901)〈与謝野晶子臙脂紫「やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君」
③ 事をなすにあたってとるべきてだて。手段。方法。やり方。特に、正当な方法。
書紀(720)神代上(兼方本訓)「其の病を療(をさ)むる方(ミチ)を定む」
④ (修飾語を受けて) 特定の方面のこと。むき。すじ。かた。「恋の道」「学びの道」
※万葉(8C後)一一・二三七五「吾れゆ後生れむ人は我が如く恋する道(みち)にあひこすなゆめ」
⑤ 特に、専門の方面。専門的な方法。学問、芸能、武術、技術などの専門の分野。中世以後、単なる技芸としてでなく、人間としての修行を目的として道という場合がある。「弓箭の道」「管弦の道」「儒学の道」
※宇津保(970‐999頃)吹上下「学問せさせたるみちの人にもあらず」
⑥ 目的、結果などに至りつくべきみちすじ。到達、達成のためにふまねばならぬ過程。
※敗北の文学(1929)〈宮本顕治〉一「自分の辿ってゐる路が『敗惨』に通じてゐることを」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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