日本大百科全書(ニッポニカ) 「インマーマン」の意味・わかりやすい解説
インマーマン
いんまーまん
Karl Leberecht Immermann
(1796―1840)
ドイツの劇作家、小説家。マクデブルク生まれ。地方裁判所判事のかたわら創作に励み、劇場の経営・指導など演劇活動にも携わった。代表作に『エピゴーネン』(1836)や『ミュンヒハウゼン』(1839)などの長編小説がある。前者は「遺産と後に生まれた者について回る重荷を背負う」過渡期における封建的体制と新興産業資本との軋轢(あつれき)を描き、主人公は、産業が人間と自然とを破壊する点を重視して、従来の農業生産に帰れと主張する。後者は、いわゆる「ほら吹き男爵」ミュンヒハウゼンを没落した貴族に仕立て、物語は彼の居城と健康で豊かな農村の上屋敷を舞台に展開する。作者は第11章を冒頭に置くというロマン主義風の技法を使い、城と農民の生活を交錯させるホフマン流のモンタージュ形式を踏襲した。両作品とも、ドイツ文学史でいう時代批判小説の先駆ともいえる。ほかに自伝風な『回想録』(1840)がある。
[武田昌一]