エルガー(読み)えるがー(英語表記)Edward Elgar

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エルガー」の意味・わかりやすい解説

エルガー
えるがー
Edward Elgar
(1857―1934)

イギリスの作曲家。ブロードヒル(ウースター近郊)の教会のオルガン奏者の父親から音楽の手ほどきを受けたが、作曲はほとんど独学で習得。初め地方音楽家として働いていたが、やがて作曲家として活動を開始し、管弦楽曲『エニグマ(謎(なぞ))変奏曲』(1899)、オラトリオ『ジェロンティウスの夢』(1900)などによってその地位を確立した。とくに後者はリヒャルト・シュトラウスによって賞賛され、ヨーロッパ大陸にも彼の名は知られるに至った。エルガー本領は、合唱を用いたオラトリオやカンタータなどにあるが、交響曲や協奏曲などの管弦楽作品に手腕を発揮している。その音楽はワーグナーブラームスなど後期ロマン派の作曲家の影響を受けているが、親しみやすい旋律と巧みな職人的技巧によって高貴な人間感情をうたいあげ、イギリス国民の高い評価を受けるとともに、世界中で親しまれている。行進曲『威風堂々』(5曲のうち、1902年のエドワード7世戴冠(たいかん)式に用いられた第1番がもっとも有名)はとくに知られている。

[寺田兼文]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エルガー」の意味・わかりやすい解説

エルガー
Elgar, Sir Edward (William)

[生]1857.6.2. ブロードヒース
[没]1934.2.23. ウースター
イギリスの作曲家。父はローマ・カトリックのオルガン奏者。 16歳のとき,父の意志ロンドンの弁護士事務所で働くが,音楽を断念できず独学で作曲や演奏の技術を学ぶ。 1879年アドルフ・ポリツァーにバイオリンを習う。 85~89年父の跡を継いで,聖ジョージ教会のオルガン奏者をつとめる。『謎の変奏曲』 (1899初演) で作曲家として認められ,続いてオラトリオ『ジェロンティアスの夢』 (1900) は彼の名声を確固たるものとした。「イギリス音楽のルネサンス」と呼ばれる時期の代表的作曲家の一人で,第1次世界大戦後は室内楽の作品を多く書いている。

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