改訂新版 世界大百科事典 「エルズワース」の意味・わかりやすい解説
エルズワース
Lincoln Ellsworth
生没年:1880-1951
アメリカの極地探検家。シカゴの裕福な家に生まれ,幼時から秘境踏破を志す。コロンビア,イェール両大学で学ぶ。カナダ横断鉄道測量技師,第1次大戦中の空軍勤務,アラスカの金採掘鉱山技師を経て,1924年アマゾン源流を目ざすジョンズ・ホプキンズ大学アンデス調査隊に参加,地質調査に当たる。25年5月出資してアムンゼンとスピッツベルゲンから北緯88°地点まで飛行,遭難したが生還。26年5月購入した飛行船ノルゲ号でアムンゼン,ノビレと北極横断飛行に成功した。31年エッケナーHugo Eckener(1868-1954)とツェッペリン飛行船LZ127による北極探検に参加,極地滞空106時間,科学観測を行う。同年8月G.H.ウィルキンズの北極潜航に参加,ノーチラス号で極海下を観察,以後ウィルキンズと組んで南極横断飛行に挑む。35年11~12月,ウェッデル海北西方のダンディー島を出発,ロス海に面する鯨湾へ飛び,その西方にエルズワース・ハイランド,操縦士名にちなむケニヨン台地などの地名を命名した。38-39年にも船で南緯72°まで迫った。富豪で極地探検家は彼だけである。著書に《極飛行》(1925),《北極海初横断》(1927),《地平線の彼方》(1938)がある。
執筆者:石山 洋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報