海洋プレートが沈み込むとき、海洋底に堆積(たいせき)していたチャートや、海溝で堆積した砂岩泥岩互層などの砕屑(さいせつ)物が、衝上(しょうじょう)断層によって剥(は)ぎ取られたり底付けされたりして、陸側のプレートに張り付くことを付加作用という。このようにして張り付いた堆積物を付加堆積物、付加堆積物による集合体を付加体という。断面で見たとき、海溝の陸側の付加体の部分は三角形の形をしているため、これを付加プリズムとよぶ。また、付加堆積物が分布する地帯を付加帯とよぶこともある。
付加体には、チャート→珪質(けいしつ)泥岩→泥岩→砂岩泥岩互層および砂岩という一連の層序をもつ地層(チャート‐砕屑岩シーケンス)が認められることが多い。これは、海洋プレート上で、遠洋性のチャートから始まり、陸に近づくにつれ珪質泥岩となり、海溝で泥岩および砂岩泥岩互層などが堆積するためで、プレートの移動に伴う堆積場の横の変化を反映している。チャート‐砕屑岩シーケンスが衝上断層で何回も繰り返しているとき、見かけの地層の積み重なり方は同じでも硅質泥岩・泥岩などは海溝側のほうが若くなることが多い。これは、海溝側にあるもののほうが、より後から海溝に到達したために、海溝での泥岩などの堆積年代が若くなるためである。衝上断層に伴ってデュープレックスが形成されたり、沈み込みに伴ってチャートや砂岩などのブロックが泥岩中に取り込まれたメランジュも形成されたりする。西南日本外帯の秩父帯(ちちぶたい)や四万十(しまんと)帯に多く存在するメランジュは、このようにして形成されたものが多いと考えられる。また、玄武岩質の海山や、その上に堆積した石灰岩が、泥岩基質に取り込まれることもある。秋吉石灰岩などの大規模な石灰岩体は、このようにして付加したものである。
造山帯には付加作用で形成された地質体が多くあり、とくに日本列島のような、長期にわたって海洋プレートの沈み込みを受けた地域には、異なる時期による付加体が形成されている。古生代ペルム紀付加体の秋吉帯、中生代ジュラ紀の美濃(みの)‐丹波(たんば)帯、秩父帯北帯および三宝山(さんぼうさん)帯、中生代白亜紀から新生代古第三紀の四万十帯などは、その代表例である。これらの付加堆積物は、かつて地向斜堆積物とされたものである。地向斜・造山運動論は、プレートテクトニクスに基づく付加体説の登場によって、その役目を終えた。
[村田明広]
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