(読み)たん

  • ▽段/▽常
  • きだ
  • だん
  • 段/壇/檀
  • 漢字項目

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

もと区画を意味した。とも書く。 (1) 土地の面積単位。大化改新後,町 (ちょう) 段歩の制が設けられ,町を 10段に分け,1段を 360歩とした。1歩は,和銅6 (713) 年の規定では方6尺,『大宝令』と『養老令』では方5尺であったが,実面積には相違なく,360歩を1段とする制が踏襲された。太閤検地では方6尺3寸を,江戸時代には方6尺を1歩とし,300歩を1段とした。明治地租改正でも方6尺を1歩,300歩を1段とした。 (2) 織物を数える単位。とも書く。成人一人前の衣料に相当する分で,普通鯨尺で長さ2丈8尺 (10.6m) ,幅約9寸 (0.34m) を1段としたが,織物の産地,種類によって異なる。 (3) 距離単位。6間 (約 11m) を1段とした。
日本音楽の用語。一曲をその構成部分に区分するとき,またはその特定部分をいうときに用いられる称。種目によって用法が異なる。 (1) 雅楽 舞楽の楽曲構成単位。章,部,段と細分した場合の最小単位。 (2) (a) 囃子事の構成単位。ただし,カカリのように初段に先行する部分もあるので,段数の数え方は場合によって異なる。また,実際に段であるが数に加えない段を,「空 (そら) 段」という。 (b) 一部の能の曲で,独特の特色があって,しかもクセキリなどの中心部分でないものを「…の段」と呼ぶことがある。『芦刈』の「笠の段」,『海人』の「玉の段」などがその例。 (3) 浄瑠璃 全曲をいくつかに区切った構成単位。古浄瑠璃は6段,義太夫節浄瑠璃の時代物は5段の組織を標準とし,後期のものではさらに段数がふえた。世話物では上中下の3巻という言い方をするが,これを3段組織ともみなしうる。各段には,それぞれ「…の段」という標題もつけられ,1段のなかを口,中,切 (奥) などに細分することもあり,しかもその細分されたものを独立させて「…の段」と名づけることもある。切の最後の部分を特に「段切り (段切れ) 」という。 (4) 地歌箏曲 純器楽曲の「段物」や,「手事物」の器楽的部分の「手事」などを,それぞれの構成単位に区切ったときの大きなまとまり。「手事」には,「…段」といわれる部分の前後に,「マクラ」「チラシ」といわれる前奏,後奏がつくこともあり,流派によっては「手事」の第2段が「チラシ」に近い性格をもつときには,これを「中チラシ」といって,後奏の「チラシ」を「本チラシ」または「後ヂラシ」ということもある。

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デジタル大辞泉の解説

《「きた」とも》
[名]
布などの長さを計る単位。反(たん)。
「庸布(ちからぬの)四百(よほ)―」〈天武紀〉
田畑の面積の単位。段(たん)。
「およそ田は、長さ三十歩、広さ十二歩を―とせよ」〈孝徳紀〉
[接尾]助数詞。物の断片、切れ目を数えるのに用いる。
「十拳剣(とつかのつるぎ)を乞ひ度(わた)して、三―に打ち折りて」〈・上〉
[名]
上方へ高くのぼるように重なっている台状のもの。また、その一つ一つ。段々。「石のを上る」「を踏み外す」
上下に区切ったものや順に重なったものの一つ一つ。「寝台車の上の
段組みで分けられた、文字をレイアウトする列の一つ一つ。日本の多くの新聞では、上下15段で1面が構成される。

㋐長く続く文章のひとくぎり。段落。「文を三つのに分ける」
浄瑠璃など、語り物のひとくぎり。「『義経千本桜』の鮨屋の
㋒掛け算の九九(くく)で被乗数を同じくするもの。「二のを唱える」
五十音図で、行(ぎょう)に対し、「あ」「い」「う」などの列。「た行う
武道や囲碁・将棋などで、技量によって与えられる等級。ふつう、初段から10段まである。「を取る」
ある事柄をそれとさす語。「無礼のお許しください」
物事の一局面。そういう場合。「いよいよというになって逃げだす」
否定や疑問の語を伴って、それどころではないという気持ちを表す語。そういう程度。それほどの程度。「痛かったのなんのというじゃない」
[接尾]
助数詞。階段状、または層をなしたものを数える。「階段を2ずつ駆け上がる」「3組みのページ」
武道や囲碁・将棋などの技量の程度を表す。「柔道3の腕前」
[音]ダン(呉) タン(漢) [訓]きだ
学習漢字]6年
〈ダン〉
登降できるようにした台状のもののつながり。台状のもの。「段丘段段石段(いしだん)階段上段雛段(ひなだん)
物事の区切り。「段階段落章段前段特段分段別段
区切られた等級。「段位高段初段昇段値段有段
手だて。やりかた。「算段手段
〈タン〉土地の面積の単位。約一〇アール。反(たん)。「段収段別
〈段〉⇒だん
〈壇〉⇒だん
〈檀〉⇒だん

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世界大百科事典 第2版の解説

日本の芸能の用語。区切りを表す一般語彙(ごい)を応用したものであるが,種目によって厳密にはその規定する内容が異なる。(1)雅楽では,近代では,1曲を章・節・段と細分したときの最小単位に用いる。これは文章の細目用語の応用で,楽章・楽節・楽段とも用い,そのまま洋楽のmovement,phrase,periodの訳語にも用いる。ただし楽段という訳語の用い方は場合によって一定していない。【平野 健次】(2)能でも,脚本構成の単位として,〈シテ登場ノ段〉などと,区切られた部分の呼称として用いられることもあるが,古くは,《海人(あま)》の〈玉ノ段〉のように,クセやキリなどの類型に入らない特殊な構造と性格をもつ部分を,とくに取り出していう場合に用いた。

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精選版 日本国語大辞典の解説

[1] 〘名〙
[一]
① 高さの違う台状のもののつながり。また、その一つ一つ。きざはし。きだ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)初「ハイと階子の段(ダン)をおりながら」
② 格付けや品格の上下。しな。品等。
※黄表紙・見徳一炊夢(1781)上「なにか上るりも、口跡もきこへぬ。役者もだんがしれぬ」
③ 柔道・剣道・囲碁・将棋などで、技量に応じて与えられる等級。
④ 上下に重ねたもののいくつかをさしていう。また、表などの形で縦横に配されたものの、横の並び。「五十音のえの段」
※咄本・初登(1780)十露盤「覚へのわるひ子供に、二の段(ダン)をおしへ、幾度させても覚へず」
※千鳥(1906)〈鈴木三重吉〉「この押入には、下の方はあたしのものが少しばかり這入って居りますから、あなたは当分上の段だけで我慢して下さいましな」
⑤ 文章や話の一くぎり。場面。
※百座法談(1110)三月二六日「又おくの段にのたまへるは、若但書写是人命終当生忉利天上、とのたまへり」
⑥ 邦楽の楽曲の構成単位。能楽では仕舞、一調、独吟などに用いる一曲中の独立性の強い謡い所(「玉之段」「笠之段」など)、また、囃子事の構成単位をいう。箏曲・地歌では器楽部分の構成単位(「六段」「八段」など)、また、手事の構成単位についていう。浄瑠璃では曲を構成する最も大きな単位、また、俗に「鮨屋の段」のように一段の一部分を独立させて呼ぶのにいう。
⑦ 横縞に染めた織物。
[二] 形式名詞のように用いる。
① 上に述べることを統合して、体言格とする語。くだり。こと。手紙文などに用いられる。
※東寺百合文書‐は・正応二年(1289)八月日・若狭太良荘雑掌尼浄妙重申状案「云御下知違背段、為被行罪科、重言上如件」
※吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉九「貴家益々御隆盛の段奉賀上候」
② 予想される状況とか一つの局面とかをとりたてていう語。そういう場合。
※栄花(1028‐92頃)峰の月「迦葉仏、当入涅槃のだむなり。智者当得結縁せよ」
※多情仏心(1922‐23)〈里見弴〉半処女「いざ帰ると云ふだんになって」
③ (否定や疑問の語を伴って) ある場面・情況をとりたてて、それどころではないという気持を表わす語。そういう程度。
※浄瑠璃・曾根崎心中(1703)「ようもようも徳兵衛が命は続きの狂言に、したらば哀れにあらふぞと、溜息ほっとつぐ斗、ハテ軽口のだんかいの」
[2] 〘接尾〙
① 階段などの一つ一つの平面を数えるのに用いる。
※台記‐久安七年(1151)正月一〇日「五六段はかりおくれて非疾非遅、盖高座の如なる、大輿の来るなり」 〔旧唐書‐陳叔達伝〕
② きざみ、等級などを数える語。
※虎明本狂言・音曲聟(室町末‐近世初)「先大昔、中むかし、当世やうと三段有が、どれをならひたひぞ」
③ 柔道、剣道、囲碁、将棋など、免許状を発行するようなものについて、程度・段階を表わすのに用いる。数が多くなるにしたがい上位になる。
④ 文章の区切りの数を数えるのに用いる。

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世界大百科事典内のの言及

【義太夫節】より

…そして18世紀半ばに《菅原伝授手習鑑》《義経千本桜》《仮名手本忠臣蔵》の三大名作が初演された。このころが人形浄瑠璃の勢いがもっともさかんで,生彩をはなった時期で,〈操り段々流行して歌舞伎は無きが如し〉(《浄瑠璃譜》)とまでいわれるほどの繁栄をみた。また18世紀初めからは,歌舞伎の音楽としても用いられるようになった(丸本物)。…

※「段」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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