(読み)たん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


たん

もと区画を意味した。反とも書く。 (1) 土地の面積の単位。大化改新後,町 (ちょう) 段歩の制が設けられ,町を 10段に分け,1段を 360歩とした。1歩は,和銅6 (713) 年の規定では方6尺,『大宝令』と『養老令』では方5尺であったが,実面積には相違なく,360歩を1段とする制が踏襲された。太閤検地では方6尺3寸を,江戸時代には方6尺を1歩とし,300歩を1段とした。明治の地租改正でも方6尺を1歩,300歩を1段とした。 (2) 織物を数える単位。端とも書く。成人一人前の衣料に相当する分で,普通鯨尺で長さ2丈8尺 (10.6m) ,幅約9寸 (0.34m) を1段としたが,織物の産地,種類によって異なる。 (3) 距離単位。6間 (約 11m) を1段とした。


だん

日本音楽の用語。一曲をその構成部分に区分するとき,またはその特定部分をいうときに用いられる称。種目によって用法が異なる。 (1) 雅楽 舞楽の楽曲構成単位。章,部,段と細分した場合の最小単位。 (2) 能 (a) 囃子事の構成単位。ただし,カカリのように初段に先行する部分もあるので,段数の数え方は場合によって異なる。また,実際に段であるが数に加えない段を,「空 (そら) 段」という。 (b) 一部の能の曲で,独特の特色があって,しかもクセやキリなどの中心部分でないものを「…の段」と呼ぶことがある。『芦刈』の「笠の段」,『海人』の「玉の段」などがその例。 (3) 浄瑠璃 全曲をいくつかに区切った構成単位。古浄瑠璃は6段,義太夫節浄瑠璃の時代物は5段の組織を標準とし,後期のものではさらに段数がふえた。世話物では上中下の3巻という言い方をするが,これを3段組織ともみなしうる。各段には,それぞれ「…の段」という標題もつけられ,1段のなかを口,中,切 (奥) などに細分することもあり,しかもその細分されたものを独立させて「…の段」と名づけることもある。切の最後の部分を特に「段切り (段切れ) 」という。 (4) 地歌箏曲 純器楽曲の「段物」や,「手事物」の器楽的部分の「手事」などを,それぞれの構成単位に区切ったときの大きなまとまり。「手事」には,「…段」といわれる部分の前後に,「マクラ」「チラシ」といわれる前奏,後奏がつくこともあり,流派によっては「手事」の第2段が「チラシ」に近い性格をもつときには,これを「中チラシ」といって,後奏の「チラシ」を「本チラシ」または「後ヂラシ」ということもある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

きだ【段/常】

《「きた」とも》
[名]
布などの長さを計る単位。反(たん)。
「庸布(ちからぬの)四百(よほ)―」〈天武紀〉
田畑の面積の単位。段(たん)。
「およそ田は、長さ三十歩、広さ十二歩を―とせよ」〈孝徳紀〉
[接尾]助数詞。物の断片、切れ目を数えるのに用いる。
「十拳剣(とつかのつるぎ)を乞ひ度(わた)して、三―に打ち折りて」〈・上〉

たん【段/壇/檀】[漢字項目]

〈段〉⇒だん
〈壇〉⇒だん
〈檀〉⇒だん

だん【段】

[名]
上方へ高くのぼるように重なっている台状のもの。また、その一つ一つ。段々。「石のを上る」「を踏み外す」
上下に区切ったものや順に重なったものの一つ一つ。「寝台車の上の
段組みで分けられた、文字をレイアウトする列の一つ一つ。日本の多くの新聞では、上下15段で1面が構成される。

㋐長く続く文章のひとくぎり。段落。「文を三つのに分ける」
浄瑠璃など、語り物のひとくぎり。「『義経千本桜』の鮨屋の
㋒掛け算の九九(くく)で被乗数を同じくするもの。「二のを唱える」
五十音図で、行(ぎょう)に対し、「あ」「い」「う」などの列。「た行う
武道や囲碁・将棋などで、技量によって与えられる等級。ふつう、初段から10段まである。「を取る」
ある事柄をそれとさす語。「無礼のお許しください」
物事の一局面。そういう場合。「いよいよというになって逃げだす」
否定や疑問の語を伴って、それどころではないという気持ちを表す語。そういう程度。それほどの程度。「痛かったのなんのというじゃない」
[接尾]
助数詞。階段状、または層をなしたものを数える。「階段を2ずつ駆け上がる」「3組みのページ」
武道や囲碁・将棋などの技量の程度を表す。「柔道3の腕前」

だん【段】[漢字項目]

[音]ダン(呉) タン(漢) [訓]きだ
学習漢字]6年
〈ダン〉
登降できるようにした台状のもののつながり。台状のもの。「段丘段段石段(いしだん)階段上段雛段(ひなだん)
物事の区切り。「段階段落章段前段特段分段別段
区切られた等級。「段位高段初段昇段値段有段
手だて。やりかた。「算段手段
〈タン〉土地の面積の単位。約一〇アール。反(たん)。「段収段別

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版の解説

だん【段】

日本の芸能の用語。区切りを表す一般語彙(ごい)を応用したものであるが,種目によって厳密にはその規定する内容が異なる。(1)雅楽では,近代では,1曲を章・節・段と細分したときの最小単位に用いる。これは文章の細目用語の応用で,楽章・楽節・楽段とも用い,そのまま洋楽のmovement,phrase,periodの訳語にも用いる。ただし楽段という訳語の用い方は場合によって一定していない。【平野 健次】(2)能でも,脚本構成の単位として,〈シテ登場ノ段〉などと,区切られた部分の呼称として用いられることもあるが,古くは,《海人(あま)》の〈玉ノ段〉のように,クセやキリなどの類型に入らない特殊な構造と性格をもつ部分を,とくに取り出していう場合に用いた。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

だん【段】

[1] ( 名 )
地面・床面などで、平面の高さが連続していないこと。また、高さの違う平面が順に並んでいる所。また、その一つ一つ。 「居間と食堂の境は-をつける」 「ひな-」 「一番上の-に内裏だいり様を並べる」 「 -をつけて髪をカットする」
上下に、層をなして重なっているものの一つ一つ。 「寝台車の上の-」 「名簿の一番下の-」
技量・品質などによる格付け。また、その格。 「 -が違う」 「上の-に進む」 「浄瑠璃も口跡もきこえぬ、役者も-が知れぬ/黄表紙・見徳一炊夢」
全体を何らかの基準で小分けにした一つ一つ。
長い文の中の、まとまった内容をもった切れ目。段落。
歌舞伎・浄瑠璃などで、独立させて演じられる一部分。 「菅原伝授手習鑑寺子屋の-」
五十音図で、横の並び。 「イ -」 → ぎよう
掛け算の九九で、同一の被乗数をもつもの。 「三の-」
文字組版で、版面を二つ以上に区分したときの一区分。 「縦四-」
変化・進行している物事の過程の一つ一つ。場面。局面。 「いざという-になると尻込みする」 「暑いの寒いのといってる-ではない」
多く手紙・文書などで、上の語をうけて、その表す内容を統合し、体言化する。こと。 「失礼の-お許し下さい」 「この-お伺い致したく」 「御健勝の-御慶申上候」
たん(反・段)」に同じ。
( 接尾 )
助数詞。階段状または層をなして重なっているものを数えるのに用いる。 「五-下りる」 「三-重」 「一〇-編む」
囲碁・将棋・柔道・剣道などで、技量を表す程度・段階を表すのに用いる。数が多いほど上位になる。 「柔道三-」
文章や話の区切りの数を数えるのに用いる。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

だん【段】

[1] 〘名〙
[一]
① 高さの違う台状のもののつながり。また、その一つ一つ。きざはし。きだ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)初「ハイと階子の段(ダン)をおりながら」
② 格付けや品格の上下。しな。品等。
※黄表紙・見徳一炊夢(1781)上「なにか上るりも、口跡もきこへぬ。役者もだんがしれぬ」
③ 柔道・剣道・囲碁・将棋などで、技量に応じて与えられる等級。
④ 上下に重ねたもののいくつかをさしていう。また、表などの形で縦横に配されたものの、横の並び。「五十音のえの段」
※咄本・初登(1780)十露盤「覚へのわるひ子供に、二の段(ダン)をおしへ、幾度させても覚へず」
※千鳥(1906)〈鈴木三重吉〉「この押入には、下の方はあたしのものが少しばかり這入って居りますから、あなたは当分上の段だけで我慢して下さいましな」
⑤ 文章や話の一くぎり。場面。
※百座法談(1110)三月二六日「又おくの段にのたまへるは、若但書写是人命終当生忉利天上、とのたまへり」
⑥ 邦楽の楽曲の構成単位。能楽では仕舞、一調、独吟などに用いる一曲中の独立性の強い謡い所(「玉之段」「笠之段」など)、また、囃子事の構成単位をいう。箏曲・地歌では器楽部分の構成単位(「六段」「八段」など)、また、手事の構成単位についていう。浄瑠璃では曲を構成する最も大きな単位、また、俗に「鮨屋の段」のように一段の一部分を独立させて呼ぶのにいう。
⑦ 横縞に染めた織物。
[二] 形式名詞のように用いる。
① 上に述べることを統合して、体言格とする語。くだり。こと。手紙文などに用いられる。
※東寺百合文書‐は・正応二年(1289)八月日・若狭太良荘雑掌尼浄妙重申状案「云御下知違背段、為被行罪科、重言上如件」
※吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉九「貴家益々御隆盛の段奉賀上候」
② 予想される状況とか一つの局面とかをとりたてていう語。そういう場合。
※栄花(1028‐92頃)峰の月「迦葉仏、当入涅槃のだむなり。智者当得結縁せよ」
※多情仏心(1922‐23)〈里見弴〉半処女「いざ帰ると云ふだんになって」
③ (否定や疑問の語を伴って) ある場面・情況をとりたてて、それどころではないという気持を表わす語。そういう程度。
※浄瑠璃・曾根崎心中(1703)「ようもようも徳兵衛が命は続きの狂言に、したらば哀れにあらふぞと、溜息ほっとつぐ斗、ハテ軽口のだんかいの」
[2] 〘接尾〙
① 階段などの一つ一つの平面を数えるのに用いる。
※台記‐久安七年(1151)正月一〇日「五六段はかりおくれて非疾非遅、盖高座の如なる、大輿の来るなり」 〔旧唐書‐陳叔達伝〕
② きざみ、等級などを数える語。
※虎明本狂言・音曲聟(室町末‐近世初)「先大昔、中むかし、当世やうと三段有が、どれをならひたひぞ」
③ 柔道、剣道、囲碁、将棋など、免許状を発行するようなものについて、程度・段階を表わすのに用いる。数が多くなるにしたがい上位になる。
④ 文章の区切りの数を数えるのに用いる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典内のの言及

【義太夫節】より

…そして18世紀半ばに《菅原伝授手習鑑》《義経千本桜》《仮名手本忠臣蔵》の三大名作が初演された。このころが人形浄瑠璃の勢いがもっともさかんで,生彩をはなった時期で,〈操り段々流行して歌舞伎は無きが如し〉(《浄瑠璃譜》)とまでいわれるほどの繁栄をみた。また18世紀初めからは,歌舞伎の音楽としても用いられるようになった(丸本物)。…

※「段」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

未必の故意

犯罪事実の発生を積極的には意図しないが、自分の行為からそのような事実が発生するかもしれないと思いながら、あえて実行する場合の心理状態。→故意[補説]作品名別項。→未必の故意...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

段の関連情報