感光(読み)カンコウ

デジタル大辞泉 「感光」の意味・読み・例文・類語

かん‐こう〔‐クワウ〕【感光】

[名](スル)物質が光を受けて反応し、化学変化を起こすこと。「フィルム感光する」
[類語]反応化学反応連鎖反応化学変化化成化合合成光合成腐食漂白分解加水分解解毒核融合核分裂核爆発

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精選版 日本国語大辞典 「感光」の意味・読み・例文・類語

かん‐こう‥クヮウ【感光】

  1. 〘 名詞 〙 物質が光をうけて、化学的変化をおこすこと。光線に感応して変化すること。
    1. [初出の実例]「重クロム酸アンモニアで塗りつめた金属板を日光に曝して、感光させたり」(出典:機械(1930)〈横光利一〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「感光」の意味・わかりやすい解説

感光 (かんこう)

一般に光の照射を受けた物体あるいは化学物質が物理的性質や化学的性質の変化を起こす現象をいう。印刷物や織物の色材が光の作用によって変色,退色する現象や,ガラス,岩塩などが放射線照射によって着色する現象も広義に感光と考えられる。光の作用によって起こる物質の変化はいろいろな形で人間生活に利用されており,とくに光によって画像をつくったり,これを記録として残すという考え方はテレビジョン,写真および映画で実現されている。テレビジョンでは光のエネルギーを光電的変換によって電気信号に変え,この信号を送受信して再び電気信号を光の強弱に変換して画像を組み立てている。この場合には,光に感ずる物質で光電面をつくり,光の作用によって光電面の電気的性質,すなわち物理的性質の変化を起こさせて光を検出するのである。一方,写真や映画では,感光性物質を使ってフィルムをつくり,これをカメラレンズの焦点面に置いてフィルム上に被写体の像を結像させ,フィルムの感光物質の化学的性質を変化させて画像をつくるのである。このように光の作用は,物質の物理的性質の変化を起こしたり,材料の化学的性質の変化を起こしたりするが,いずれの場合も実用上重要である。

 光の作用を利用して画像をつくる場合,媒体として使われる感光性物質には種々の性質が要求される。まず第1に微弱な光にも感ずる感度が必要であり,第2に光の強弱に対応して物理的性質,化学的性質の変化を示して,なるべく広範囲の光の強弱をとらえる必要がある。第3には,種々の波長の光に感ずる性質,すなわち感色性を有することが挙げられ,さらにテレビジョン,写真,映画その他画像形成のそれぞれのシステムの目的を達するための諸要求がある。これらの要因の中で感光要素あるいは感光材料の感度を考え,主要な材料の感度を比較すると表に示すとおりになる。すなわち,微弱な光を検出する感度はテレビジョン用ビジコン管が最も高く,写真フィルムがこれに次ぎ,複写用の電子写真やジアゾ複写材料(ジアゾタイプ)の感度は低い。表に示した解像力は,画像をつくる場合,狭い間隔で並んだ線を画像として再現しうる性能を示すもので,ジアゾ材料の解像力は大きい。

一般写真撮影に使うフィルムはハロゲン化銀を感光物質としている。写真フィルムが感光した場合このハロゲン化銀はどのように変化するであろうか。写真フィルムに使われるハロゲン化銀は臭化銀AgBrを主体とし,これに少量のヨウ化銀AgIを添加してある。臭化銀は感光層の中で微細な結晶をつくっており,この結晶は臭素イオンBr⁻と銀イオンAg⁺とが交互に並んだイオン結晶である。臭化銀結晶に光が当たって感光作用を呈するために,まず臭化銀結晶が光を吸収しなければならない。すなわち臭化銀の光吸収が感光の第1過程である。臭化銀が光を吸収すると,結晶中のエネルギー状態が高まり,結晶中を動きうる電子と正孔を生成する。この電子と正孔の寿命は短いが,その間に電子または正孔は結晶中のエネルギー状態の低い部分(たとえば銀原子や硫化銀あるいは結晶格子の不規則な部分など)に捕獲される。このような部分(感光核sensitivity speckと呼ばれる)に電子が捕獲,蓄積されると,負の電荷が形成され,臭化銀結晶中の動きうる格子間銀イオンAg⁺を引き寄せてその正電荷を中和する。その結果,臭化銀結晶中には銀原子Agが析出する。この銀原子が4個以上集まると,写真フィルムを現像することによって画像をつくることが可能になる。このような臭化銀結晶中に光の作用によって生成した微量の銀原子の集団を潜像latent imageという。カメラで写真を撮影するとフィルムには潜像ができているのである。潜像は肉眼では見えないが,このフィルムを現像してはじめて目に見える画像が現れる。潜像をつくっている銀原子は,現像によって大量の銀原子集団となり(銀量は107倍以上にも増量される),画像をつくる。このようにハロゲン化銀の写真では現像処理を施して増幅する結果高い感度を得ることができる。また,ハロゲン化銀は本来可視域の青い光にだけ感光するのであるが,ハロゲン化銀にシアニン色素を加えて黄,赤など可視域全体に感光性をもたせることができる。また,ハロゲン化銀の材料は光の強弱をよくとらえて被写体の微妙な調子を再現することができ,カラー写真では被写体の色を忠実に再現している。
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百科事典マイペディア 「感光」の意味・わかりやすい解説

感光【かんこう】

光の照射によって物理的・化学的変化が起こる現象。写真感光材料に光が当たると,写真乳剤中のハロゲン化銀の結晶粒子の不完全な個所中心(感光核)として銀原子が生成され,これがある大きさ以上になって潜像を形成する。→感光度

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「感光」の意味・わかりやすい解説

感光
かんこう
response to light

光の照射によって物理的,化学的な変化を起すこと。たとえば光の照射によって写真フィルムに潜像が生じ,光電池に起電力が生じる。

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