カヤオ(読み)かやお(英語表記)Callao

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カヤオ」の意味・わかりやすい解説

カヤオ
Callao

ペルー中部,太平洋岸の都市。首都リマの西に隣接する港湾都市で,その外港となっているとともに,リマ=カヤオ大都市圏の一部をなす。行政的には周辺の島を含めて県に属さない特別区を構成。アンデス山脈から流下してくるリマク川の南岸にあり,南西方向に突出した細長い岬とその沖合いにあるサンロレンソ島によって外洋から守られた天然の良港をもつ。 1537年インカ帝国の征服者 F.ピサロが建設し,インカから奪った金銀のスペイン本国への積出港とした。しばしばヨーロッパ諸国の海賊に襲われたが,植民地時代は南アメリカ太平洋岸の主要港として繁栄。 1746年の地震に伴う津波で破壊されたのち,やや離れたところに再建され,70年代にはレアルフィリペ要塞が築かれた。ペルーの独立戦争時にはスペイン軍がしばしば包囲したが,1823年南アメリカの解放者 S.ボリバルが上陸,26年スペイン軍は最終的に降伏し,港を放棄。 51年南アメリカ最初の鉄道がリマとの間に開通。その後スペイン艦隊による砲撃,チリ軍による占領,1940年の大地震などで被害を受けたが,リマの発展に伴って次第に発展。人口も増加し,現在リマ,アレキパに次ぐ同国第3の大都市となっている。港湾施設は 30年代以降近代化が進み,50年代には世界銀行の援助を得てさらに整備,拡充され,現在同国最大の港として,鉱石精鉱,魚粉,魚油などを積出しコムギ,機械などを輸入する。またリマとともに同国最大の工業地帯を形成,市内にはビール,魚粉,製粉製材,製糖などの工場があり,造船所も立地する。南西郊,岬の先端にあるラプンタは海浜保養地として知られ,国立カヤオ工科大学がある。リマク川北岸にホルヘチャベス国際空港がある。面積 147km2。人口 57万 2300 (1991推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カヤオ」の意味・わかりやすい解説

カヤオ
かやお
Callao

南アメリカ中西部、ペルー中部の太平洋岸にある港湾都市。カヤオ特別県の県都で、カヤオ憲法特別市と称する。カリャオ、カジャオともいう。首都リマの西12キロメートルにあり、リマの外港である。人口42万4294(1998)。南アメリカ太平洋岸では最良の港の一つで、近代的な港湾施設が整備されており、外国貿易の60%以上を取り扱うペルー第一の港である。漁港としても重要で、水産加工の中心である。造船、食肉缶詰、製粉、醸造などの工業が発達している。1537年に建設され、16世紀末期には、イギリスの海賊ドレークに略奪され、1746年には震災で壊滅したことがある。植民地時代を通じて太平洋岸最大の港であった。町には隣接するリマの労働者も多く住み街で、魚粉工場、造船所、港湾などが目だつ。港内のサン・ロレンソ島には海軍基地があり、軍港になっており、海軍大学と海軍博物館がある。郊外にはペルーの空の玄関口ホルヘ・チャベスJorge Cháves国際空港(リマ国際空港)がある。

[山本正三]

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