カンパニュラ(読み)かんぱにゅら(英語表記)bell flower

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カンパニュラ」の意味・わかりやすい解説

カンパニュラ
かんぱにゅら
bell flower
[学] Campanula

キキョウ科(APG分類:キキョウ科)ホタルブクロ属の総称。多くは多年草であるが一、二年草もある。北半球の温帯に約420種分布し、日本にはイワギキョウチシマギキョウ、ホタルブクロ、ヤツシロソウなどが自生する。花は漏斗(ろうと)状鐘形または筒形で5裂し、頂生または腋生(えきせい)する。花色は白、青紫などで濃淡の変化がある。果実は蒴果(さくか)で種子は微小である。冷涼で乾燥した気候でよく育つ。花壇鉢植え、切り花用とするが、食用になる種類もある。

 同属のフウリンソウ(風鈴草)canterbury bells/C. medium L. は南ヨーロッパ原産の二年草。高さ30~60センチメートルで、5~8月に藤青、桃白色の鐘状花を開く。八重咲き種もあり、花壇、切り花用とする。耐寒性は強いが、夏の多湿には弱い。モモノハギキョウ(桃葉桔梗)peach leaf bell flower/C. persicifolia L.は北ヨーロッパから西アジアに分布する多年草。茎は直立し高さ0.3~1メートルで全株無毛。匍匐(ほふく)根があり、根出葉は長柄をもち細いへら状長楕円(ちょうだえん)形で、開花期にはなくなるときもある。5~6月、長さ径とも2.5センチメートル、淡紫青または白色の広鐘形花を開く。白色八重咲きまたは半八重咲きの変種も多数あり、花壇にもよいが切り花用が多い。春の実生(みしょう)で翌年開花する。株分けは秋にする。根出葉の耐寒性は強いが、夏の高温多湿に弱いので高冷地での栽培によい。オトメギキョウ(乙女桔梗)dalmatian bell flower/C. portenschlagiana Schult.は南東ヨーロッパ、バルカン地方原産の多年草。高さ10~15センチメートルと小形で全株無毛。茎はやや直立または横に伸びてよく分枝し、濃緑色の心臓状円形葉をつける。5~6月、漏斗状鐘形で径1センチメートルの青紫色花を上向きまたはやや横向きにいっぱいつける。花形、花つきともよく強健で、繁殖力も強く、古くから栽培されている。半耐寒性で、日当りのよい所で育て、寒冷地では冬期の保護が必要。花期後、根茎を株分けして殖やす。

[冨樫 誠 2021年10月20日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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