カンパニュラ(読み)かんぱにゅら(その他表記)bell flower

デジタル大辞泉 「カンパニュラ」の意味・読み・例文・類語

カンパニュラ(〈ラテン〉Campanula)

キキョウ科ホタルブクロ属の植物総称フウリンソウホタルブクロイワギキョウなど。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「カンパニュラ」の意味・読み・例文・類語

カンパニュラ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] campanula ) キキョウ科ホタルブクロ属植物を総称する外来語。この仲間(ホタルブクロ属)は、北半球温帯地方に約二五〇種あり、多くの種類が栽培される。花は五裂する鐘状花で、日本の山野に生える。ホタルブクロやイワギキョウ、ヤツシロソウほか、庭園用、切り花鉢植え用に栽培されるフウリンソウ、オトメギキョウなどがある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カンパニュラ」の意味・わかりやすい解説

カンパニュラ
かんぱにゅら
bell flower
[学] Campanula

キキョウ科(APG分類:キキョウ科)ホタルブクロ属の総称。多くは多年草であるが一、二年草もある。北半球の温帯に約420種分布し、日本にはイワギキョウ、チシマギキョウ、ホタルブクロ、ヤツシロソウなどが自生する。花は漏斗(ろうと)状鐘形または筒形で5裂し、頂生または腋生(えきせい)する。花色は白、青紫などで濃淡の変化がある。果実は蒴果(さくか)で種子は微小である。冷涼で乾燥した気候でよく育つ。花壇、鉢植え、切り花用とするが、食用になる種類もある。

 同属のフウリンソウ(風鈴草)canterbury bells/C. medium L. は南ヨーロッパ原産の二年草。高さ30~60センチメートルで、5~8月に藤青、桃白色の鐘状花を開く。八重咲き種もあり、花壇、切り花用とする。耐寒性は強いが、夏の多湿には弱い。モモノハギキョウ(桃葉桔梗)peach leaf bell flower/C. persicifolia L.は北ヨーロッパから西アジアに分布する多年草。茎は直立し高さ0.3~1メートルで全株無毛。匍匐(ほふく)根があり、根出葉は長柄をもち細いへら状長楕円(ちょうだえん)形で、開花期にはなくなるときもある。5~6月、長さ径とも2.5センチメートル、淡紫青または白色の広鐘形花を開く。白色八重咲きまたは半八重咲きの変種も多数あり、花壇にもよいが切り花用が多い。春の実生(みしょう)で翌年開花する。株分けは秋にする。根出葉の耐寒性は強いが、夏の高温多湿に弱いので高冷地での栽培によい。オトメギキョウ(乙女桔梗)dalmatian bell flower/C. portenschlagiana Schult.は南東ヨーロッパ、バルカン地方原産の多年草。高さ10~15センチメートルと小形で全株無毛。茎はやや直立または横に伸びてよく分枝し、濃緑色の心臓状円形葉をつける。5~6月、漏斗状鐘形で径1センチメートルの青紫色花を上向きまたはやや横向きにいっぱいつける。花形、花つきともよく強健で、繁殖力も強く、古くから栽培されている。半耐寒性で、日当りのよい所で育て、寒冷地では冬期の保護が必要。花期後、根茎を株分けして殖やす。

[冨樫 誠 2021年10月20日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「カンパニュラ」の意味・わかりやすい解説

カンパニュラ
bellflower
Campanula

キキョウ科ホタルブクロ属Campanulaの植物。Campanulaはラテン語起源のことばで,小さい釣鐘の意であり,英名も花の形が釣鐘状であるところから名付けられた。代表的な種はフウリンソウC.medium L.(英名Canterberry bell)で,高さ80~100cmに達し,根生する葉は卵状披針形で葉縁はやや波状となり,5~6月ころ太く粗毛があって直立する茎を伸ばし,小枝を分枝してピラミッド状になる。花は直径2.5cm程度の大きい鐘状花で,夏に開花し,多数が小枝からぶらさがる。花色は,青紫色のほか,桃色,白色,濃紫色などもある。

 ホタルブクロ属は北部温帯地域に多く分布し,約300種を含む大きな属で,日本にもホタルブクロイワギキョウイトシャジンなど6種が自生する。この属の植物はきれいな花をつける草本が多く,ロックガーデン,花壇,切花用などに栽植される。日本では,南ヨーロッパ原産の小型でかわいらしい青紫花を群開するオトメギキョウC.portenschlagiana Roem.et Schult.,茎が高く直立し広鐘形の花をつけ切花に用いるヨーロッパ産のモモノハギキョウC.persicifolia L.C.carpatica Jacq.,ヤツシロソウC.glomerata L.,C.isophylla Morettiなどが栽培される。

 フウリンソウは花壇,切花として,オトメギキョウは鉢物,花壇の縁どりなどに使われる。フウリンソウは春に種子をまき,翌年開花させるが,寒さには強いので冬の防寒は行わなくてもよい。日当りや排水のよい所を好む。オトメギキョウは宿根性で,秋に株分けでよく殖え,小鉢作りによいが,梅雨時などの高温多湿期に蒸れて株腐れしやすいので,通風をよくするように心がける。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のカンパニュラの言及

【ホタルブクロ(蛍袋)】より

…キキョウ科の多年草(イラスト)。山地の日当りのよい道路わきや林縁の草地にふつうに生える。花は総状につき,花冠は大きくつり鐘状で,長さ4~5cmにもなり,ツリガネソウともいう。ホタルブクロの名は,花がホタルを入れる袋にたとえられたという説と,〈火垂(ほた)る袋〉つまり提灯にたとえられたものだという説がある。日本全国のほか朝鮮や中国にも分布し,夏から秋にかけて咲く。茎は高さ40~80cm,全体に白色のあらい毛が多い。…

【ホタルブクロ(蛍袋)】より

…キキョウ科の多年草(イラスト)。山地の日当りのよい道路わきや林縁の草地にふつうに生える。花は総状につき,花冠は大きくつり鐘状で,長さ4~5cmにもなり,ツリガネソウともいう。ホタルブクロの名は,花がホタルを入れる袋にたとえられたという説と,〈火垂(ほた)る袋〉つまり提灯にたとえられたものだという説がある。日本全国のほか朝鮮や中国にも分布し,夏から秋にかけて咲く。茎は高さ40~80cm,全体に白色のあらい毛が多い。…

【イトシャジン】より

…シベリア,中部ヨーロッパ,北アメリカに広く分布している。カンパニュラ類(英名bluebell)の重要な園芸植物にもなっている。茎は高さ15~40cm,根生葉の柄は長さ3~10cm,葉身は円形で径0.5~3cm,数個の粗い鋸歯がある。…

※「カンパニュラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android