クラフトユニオン(英語表記)craft union

翻訳|craft union

デジタル大辞泉 「クラフトユニオン」の意味・読み・例文・類語

クラフト‐ユニオン(craft union)

職業別組合

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精選版 日本国語大辞典 「クラフトユニオン」の意味・読み・例文・類語

クラフト‐ユニオン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] craft union ) 同一職種の労働者によって組織された労働組合。職業別組合職能別組合。〔いろは引現代語大辞典(1931)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「クラフトユニオン」の意味・わかりやすい解説

クラフト・ユニオン
craft union

職能別組合または職業別組合と訳され,労働組合の古典的形態である。同一種類の技能をもつ熟練労働者によって組織され,徒弟制度での一定期間の修業を終えたもの,というような厳しい加入資格を定めているものが多かった。沿革中世の職人ギルド(〈手工業ギルド〉の項参照)にさかのぼることができ,当初は自営職人の組織であったが,資本主義の発達にともない賃金労働者の組織に再編された。イギリスで最も発達し,1851年全国的組織として組織された合同機械工組合Amalgamated Society of Engineersが代表的なものであり,他の職業でもこれにならって数多く結成された。第1次大戦前後に産業別組合が成立するまで,欧米各国の労働組合の典型であり,アメリカ労働総同盟(AFL。〈AFL-CIO〉の項参照)もその一つである。

 18世紀以降,イギリスでは友愛組合friendlysocietyがいちじるしく発展したが,職業別組合もこの影響で,相互扶助を重視し,高額の組合費を徴収する見返りとして,失業,病気,事故あるいは死亡などに際しては組合基金から相当額の手当を支給し,養老年金まで支給した例もある。賃金などの労働条件について組合員相互で基準を申し合わせ,それを認めない使用者をボイコットする形で交渉力を発揮し,その間の生活保障や職業あっせんを行った。どの産業あるいは企業で働いているかにかかわらず同職の労働者を広く組織し,非組合員を排除して労働市場の独占を図った。しかし技術進歩等によって熟練が不要となるにつれて,労働市場独占力が低下したため,資格制限を緩和したり他の組合と合同し,しだいに産業別組合の形態に移行した。一部には依然として特定職種の利益を守るため,小規模なクラフトユニオンが残存している例もあり,また産業別組合に組織転換した後も同じ行動様式に固執しているグループもあるなど,その伝統は根強い。

 日本では1897年に鉄工組合,99年に活版工組合が組織され(〈労働組合期成会〉の項参照),クラフト・ユニオンとしての活動が行われたが,徒弟制度の欠如など,熟練労働者が安定した階層として持続する条件が乏しかったうえ,1900年の治安警察法制定に示される政府,雇主の反組合的態度のため,2~3年で消滅した。
労働組合
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百科事典マイペディア 「クラフトユニオン」の意味・わかりやすい解説

クラフト・ユニオン

職業別組合,職種別組合,職能別組合などと訳され,同一職種・職能の労働者が,企業を越えて横断的に組織する労働組合。初期の労働組合組織はほとんどこの形態であった。その特徴はもっぱら熟練労働者の職業別労働条件の維持改善にあったが,産業の発達に対応して生ずる不熟練労働者を吸収し,使用者もしくは使用者団体に対する対抗力を強力にするため次第に産業別組合が発達した。→企業別組合
→関連項目労働組合

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クラフトユニオン」の意味・わかりやすい解説

クラフト・ユニオン
くらふとゆにおん

職業別労働組合

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クラフトユニオン」の意味・わかりやすい解説

クラフト・ユニオン

職業別組合」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のクラフトユニオンの言及

【労働組合】より

…経営参加制度には労働組合の機能とはせずに,非組合員を含む従業員全体を基盤とする制度もある。
【労働組合の発展】

[クラフト・ユニオンcraft union]
 労働組合の歴史の初期に組織された労働組合の形態は,多くの場合,労働者の技能ごとに組織されたクラフト・ユニオン(職業別組合あるいは職能別組合)であった。このような組織が形成された理由は,労働組合が成立しはじめた19世紀中ごろの資本主義においては,使用者はその事業に必要な技能労働者をそのつど募集して雇用し,労働者も有利な労働条件を求めて使用者間を移動することが多く,労働市場が横断的な職種別労働市場の性格を強くもっていたからであった。…

【労働組合】より

…つまり労働組合は,一定の範囲の労働市場の労働者を組織して,使用者が労働組合と取引することなしには必要な労働者を獲得できない状態をつくり出し,そのうえで労働条件の交渉を行うのである。その労働市場の範囲のあり方にしたがって労働組合の形態は,職業別組合(クラフト・ユニオン),産業別組合一般組合,あるいは日本に多い企業別組合というような,さまざまな組織形態に分かれる。この労働市場のあり方は時代により国によって異なるため,労働組合の組織形態もこれらの条件にしたがって変化している。…

※「クラフトユニオン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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