コシチューシコ(その他表記)Kościuszko, Tadeusz

デジタル大辞泉 「コシチューシコ」の意味・読み・例文・類語

コシチューシコ(Tadeusz Andrzej Bonawentura Kościuszko)

[1746~1817]ポーランド軍人アメリカ独立戦争参加。帰国後、分割された祖国を嘆き、1794年、ロシアに対する武装蜂起を指導したが、敗れて捕らえられた。釈放後亡命し、スイス死去コシューシコ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コシチューシコ」の意味・わかりやすい解説

コシチューシコ
Kościuszko, Tadeusz

[生]1746.2.4. ポーランド,メレチョフシュチズナ
[没]1817.10.15. スイス,ゾロトゥルン
ポーランドの軍人,政治家。フルネーム Tadeusz Andrzej Bonawentura Kościuszko。リトアニア(リトワ)系の中流シュラフタの出身。1769年パリに留学し,自由主義思想にふれ 1774年帰国。1776年以降,アメリカ独立戦争に参加。4ヵ年議会(1788~92)での軍制改革で少将となり,『五月三日憲法』反対のタルゴウィツァ連盟を支援したロシア軍と対戦。1792年ドゥビェンカの会戦名声をはせたが,国王スタニスワフ2世アウグスト・ポニャトフスキがこの連合に荷担したのちはライプチヒに亡命。同 1792年ロシア軍との戦い,アメリカ独立戦争への協力によって,フランス国民議会よりフランス名誉市民権を贈られた。1793年ロシアに対する共同の戦いをフランスに要請。1794年ロシアがポーランド軍の削減令を発表したのをきっかけにクラクフに戻り,国民防衛最高指揮官に就任。一方ポーランドの正規軍,平民的愛国派が次々にロシア軍に対する反乱を起こし,いくつかの諸都市を解放。しかし,蜂起軍の装備と補給の貧弱さ,都市および農村での軍事・政治上の組織者の欠如のため,数倍の兵力をもつロシア,プロシア軍に抗しきれず敗北,コシチューシコはロシアのサンクトペテルブルグに監禁された。1795年10月ポーランドの第3次分割(→ポーランド分割)が実現し,ポーランド国家は消滅。祖国滅亡後の 1796年釈放され渡米,1798年にはパリでナポレオン1世やポーランドの亡命勢力と接触。ブリュメール十八日以後,秘書の J.パブリコフスキとともに『ポーランド人は独立のために戦うことができるか』Czy Polacy wybić sięmegą na niepodległość(1800)を刊行,ナポレオンや亡命国王派勢力に批判的になった。晩年スイスで暮らし,同地で死没

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コシチューシコ」の意味・わかりやすい解説

コシチューシコ
こしちゅーしこ
Tadeusz Kościuszko
(1746―1817)

ポーランドの軍人。ワルシャワの士官学校を卒業。1776~83年にアメリカ独立戦争に参加し、ウェスト・ポイントの要塞(ようさい)工事で功績をあげた。帰国後、ポーランド軍の司令官に就任し、「五月三日憲法」(1791)の制定に反対して侵入したロシア軍と戦い、一時的に勝利を収めるが、第二次ポーランド分割後、国外に亡命した。94年3月クラクフで独立蜂起(ほうき)が起こると独裁官に就任し、農民兵を含む部隊を率いて、ラツワビツェでロシア軍を破った。同年5月、農民の協力を得るために、農奴制の廃止をうたった「ポワニェツ宣言」を発布した。しかし、ロシアとプロイセンとの連合軍に圧倒され、同年10月マチェヨビツェの戦いで負傷し、ロシア軍の捕虜となった。のち釈放され、97年にアメリカに渡り、翌年からパリに居住するが、ナポレオン1世のポーランド政策には反対した。晩年はスイスで余生を送った。

[安部一郎]

『コシチューシコ著、中山昭吉訳『民族解放と国家再建によせて』(1972・未来社)』

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「コシチューシコ」の解説

コシチューシコ
Tadeusz Kościuszko

1746~1817

ポーランド愛国主義の英雄。ワルシャワとパリの士官学校を出て,アメリカ独立戦争に参加。1784年に帰国し,92年の対ロシア戦に従軍。降伏に抗議して除隊し,ザクセンで蜂起を準備。94年蜂起軍最高司令官として,農民を加えた民族蜂起を指導(コシチューシコ蜂起)。負傷し捕虜となるが,96年に釈放され,のちパリに移住。ナポレオンには信頼をおかず,協力を拒む。農民を含めた民族蜂起による共和主義的ポーランドの再興を構想した。

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