日本大百科全書(ニッポニカ) 「サリエリ」の意味・わかりやすい解説
サリエリ
さりえり
Antonio Salieri
(1750―1825)
イタリアの作曲家。ベローナ近郊のレニャーゴに生まれる。16歳からウィーンに住み、流麗な作風のオペラで名声を博し、1788年から同地で没する前年まで宮廷楽長の要職にあった。主要作品に『ベネチアの定期市』(1772初演)など四十数曲のオペラがある。また教師としてベートーベンやシューベルトを教えた功績も大きい。しかしその死後、サリエリの名前は、晩年にたてられたモーツァルト毒殺のうわさで有名となってしまった。この風説は今日では完全に否定されている。なお、この伝説を題材とした文学作品に、プーシキンの劇詩『モーツァルトとサリエリ』(1830)、ピーター・シャファーの戯曲『アマデウス』(1979)がある。
[大久保一]